醸しコラム

Column

【連載】N-projectの活動を経て vol.1| 立ち上げ

2020.04.08


こんにちは。数馬酒造・蔵人の又木です。

今回のコラムでは、数馬酒造が大学生や米農家様と連携している活動「N-project」について、3回に分けてお話しいたします。私自身が学んだこと、そして蔵人になり活かせていることなどを紹介したいと思います。
 
 

そもそもN-projectとは?

能登を舞台に金沢在住の大学生たちが、弊社と志賀町の株式会社ゆめうらら様と連携して‟若者が、能登も農業も日本酒も盛り上げる!“をコンセプトに日本酒の商品づくりを行う活動です。
2014年の3月からはじまり、田植えや稲刈り、お酒の仕込みや商品開発、デザイン作成など、年間を通して酒造りにおけるほとんどの過程に関わり、商品開発を行なっています。
それによって生まれたお酒が「Chikuha N」シリーズです。弊社の代表銘柄でもある「竹葉(ちくは)」にN-projectの「N」をあわせて名付けました。
 
 

N-projectの立ち上げと思い

実は、僕は立ち上げメンバーとして活動に携わっています。というのも、学生時代に中国への留学を経験し、環境問題や持続可能性について興味を持っていました。帰国後、自分の地元を見つめ直そうと、過疎化が進む能登の地域づくりに奔走するなかで、数馬社長や株式会社ゆめうららの裏社長と出会いました。
担い手不足による耕作放棄地の増加や、能登の酒造りに関する課題が多いことを知り、能登の魅力発信とそれらの課題解決に向けて、能登で大学生が主体となって、酒蔵と農家が連携し酒造りを行えないかと考えました。
日本酒を切り口に能登に地域貢献をしたいと思いながらも、代表として団体運営をしたことがなく不安もたくさんありました。メンバーが集まるなかで(県外出身者がほとんどだったため)能登のことを知って欲しい、伝えたいという気持ちが強くなり、自分自身がまずは楽しもうと思ったことを覚えています。
それでもお米づくりやお酒の仕込み、商品開発など一連の活動を通じて、目に見える商品としてのお酒と、そこに至るまでの過程や想いをしっかり伝えていかなければ、米づくりをはじめとしたその土地に根付く文化やその背景をきちんと学んでいかなければと感じていました。
 
 

学生の多様な専門性を生かした組織体制

N-project初年度は、何もノウハウがないなかで活動が始まりました。当初のメンバーは金沢大学、金沢美術工芸大学、石川県立大学、金沢星稜大学などから12名。経済を専攻する学生はマーケティングを、美大の学生はデザインを担当するなど、それぞれが大学で学ぶ専門分野を生かして組織運営を行いました。プロジェクトチームは、企画班、デザイン班、運営班で構成し、細かい調整などは各班で行い、毎週月曜に全体会議で共有、意見出しなどを行いました。
メンバーの参加理由も様々でおもしろく、日本酒造りが目的でなくとも、酒造りに関わることで日本酒を好きになってくれたり、実際に生産者の方と交流することでお酒造りの苦労を知ったり、能登の自然や文化にも興味を持つ学生が増えました。活動をきっかけにメンバーの興味関心が文化や地域にも向けられ、学生と能登の人々がつながって地域の魅力が発信されたり、地域に活力が生まれたりする様子を見ていると、とてもうれしく頼もしく感じていました。
 
 

披露する「場」を作ることの重要性

初年度は金沢・東京・能登で「Chikuha N」の完成お披露目会を行いました。十分に準備をする時間もなく、メンバーで集まって徹夜で作業をする日も多かったです。それでも自分たちがつくったお酒の届く先を想像することは楽しく、実際に金沢では自分たちと同世代の学生に向けて、東京では学生や社会人の方に向けて、能登ではお世話になった行政関係者や地元の方に向けてお酒を飲んでいただくことができました!
どの会場も、活動に対する理解はもちろん、お酒への評価も高くいただき、たくさんの方と交流することができました。お酒造りがゴールではなく、その先の場をつくっていると思うようになりました。
 
 
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≫【連載】N-projectの活動を経て vol.2|商品の完成

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