醸しコラム

Column

【竹葉の食材特化シリーズ】
能登の酒蔵が提案する、食の時を楽しむ日本酒

2021.06.21

竹葉の食材特化シリーズ 石川県奥能登の日本酒酒蔵、数馬酒造

数馬酒造には、地域食材の味わいに寄り添う「食材特化シリーズ」というカテゴリのお酒がございます。
それぞれの食材をより一層おいしく楽しめるよう、原材料と製法にこだわり、食べ合わせた際のマリアージュを追求した日本酒です。

 

お料理と日本酒のマリアージュ
食材とともに味わう日本酒の楽しさを

竹葉の「食材特化シリーズ」では、地元能登の食材である「能登牛(のとうし)」、「イカ」、「牡蠣」、「ジビエ」そして「とり料理」に特化して、製造背景から食べ合わせた時のマリアージュに至るまでを考え抜いた日本酒を展開しています。
食の時を楽しくする日本酒ブランド「竹葉」として、食材とともに味わう日本酒の楽しさを存分に感じていただきたいという思いとこだわりが詰まっています。

■マリアージュとは?

もともとはワイン用語であった「マリアージュ」という言葉を、最近では日本酒業界でもよく耳にするようになりました。日本酒とお料理の味わいが融合して、新しい美味しさが生まれることを「マリアージュ」と呼びます。

ソムリエの世界では近年「ハーモニー」とも言うそうです。まさしく、様々な要素が複雑に織り重なりながら、口内で美味しさを相乗させる様は、調和そのものです。

■マリアージュのコツ

さて、このマリアージュを得るためには食材との「ペアリング」が重要です。ペアリングとは、食べ合わせのことです。
食材と日本酒の「香り」「重量感」「味わい」「骨格」などの要素を上手く組み合わせてペアリングすることで、マリアージュを体感することができます。
例えば、このようにペアリングを考えてみます。

  • 香りを合わせる
    それぞれに共通な香りを探す。もしくは補う。

  • 味付けの重さを合わせる
    軽い料理には軽快な酒、しっかりとした料理にはボディのある酒を。

  • 味わいやストラクチャーを合わせる
    旨味のある料理に旨味の強い酒、繊細な料理には繊細な酒を。

しかしながら、この食べ合わせの選択肢は無限にあり、日本酒の特徴を掴むことも簡単に思えないかもしれません。
日本酒とのペアリングをご紹介しているこんなサイトもございます。

▶たのしいお酒.jp|日本酒とつまみのマリアージュ!タイプ別に相性のよい組み合わせを知ろう
https://tanoshiiosake.jp/7575

▶灘五郷酒造組合|日本酒の楽しみ方
https://www.nadagogo.ne.jp/sake/mariage.html

また、弊社のInstagramアカウントにおいても、竹葉のお酒と相性の良いお料理やそのレシピをご紹介しています。ぜひ参考になさってください。

▶数馬酒造公式Instagram
https://www.instagram.com/kazumasakebrewery/

 
竹葉のお酒は「食の時を楽しむ」をコンセプトに醸しています。
米と水のみで醸す日本酒ですが、使用する米や仕込み水、酒造りの製法によって実に様々な個性を引き出すことができるのです。その個性によって、食材の良さを一層楽しむことができます。その知恵を集結させた日本酒が「竹葉の食材特化シリーズ」です。

また、酒造りにおいてはもちろんのこと、食べ合わせにおいても「テロワール」という言葉が重要視されています。
「竹葉の食材特化シリーズ」では、その食材が持つ背景にもスポットライトを当て、地域を活かした風土を感じるお酒を醸す。そして、このお酒を通して、食の時を楽しくする日本酒のあり方を提案しています。

 

能登牛、イカ、牡蠣、ジビエ、とり料理
地域食材との相性を考えた「食材特化シリーズ」の特徴

「食材特化シリーズ」は地域食材にフォーカスし、新しい挑戦心で醸した日本酒です。
2018年の「竹葉 能登牛純米(のとうしじゅんまい)」の発売を皮切りに、2019年5月に「竹葉 いか純米」、11月に「竹葉 gibier(ジビエ)純米」、2020年1月に「Chikuha Oyster(チクハオイスター)」、2021年5月に「竹葉 とり純米」を発売し、シリーズは現在5種類になりました。

味わいのみならず、能登の生産者を取り巻く背景や地域課題を共有し、資源の循環やテロワールの考えを大切にした商品開発を行っています。

この「食材特化シリーズ」は数馬酒造の掲げる【「醸しのものづくり」で、能登の魅力を高める。】という使命に基づき、酒造りを通して地域食材の魅力を最大化するための商品です。これらのお酒を通じて、地域食材への関心を高め、味わい、楽しみ、能登へ想いを寄せてくださることを願っています。

 

「食材特化シリーズ」誕生の背景

シリーズの始まりは2014年に遡ります。
この年、数馬酒造は地元の若き農家と協力し、能登の耕作放棄地を開墾して酒米を栽培する「水田作りからの酒造り」を始めました。この取り組みは、酒造りを通して地域課題を解決することの大きな可能性と意義、そして喜びの原体験となりました。これまでに東京ドーム5個分の耕作放棄地を水田に戻しています。

弊社社長(左)と契約農家のめうらら様(右)

これを機に、2017年には畜産業を営む地元企業と協力した循環型の日本酒を開発することになります。それが食材特化シリーズの第一弾となる「竹葉 能登牛純米」です。農業と酒造業に畜産業を加えて、地域の未来のためになるものづくりを考えた際、互いの副産物をシェアしようという声が上がりました。
そこで、農業で米の収穫後に発生する米のもみ殻と畜産業で発生する牛の排泄物を合わせて堆肥にし、農地に返す。その農地で栽培した米を数馬酒造が酒造りのために精米し、発生した米粉を牛の餌にする。農業、畜産業、酒造業の副産物をシェアした循環型の連携を実現させました。

その際、日本酒の味わいも能登牛にふさわしい酒質にするため、数年の試験醸造過程を経て数馬酒造の酒造りで初めて、昔ながらの酒造方法である「生酛(きもと)仕込み」を採用します。通常の酒造り以上の時間と労力を要する製法ですが、濃厚な能登牛の味わいに相乗する、しっかりとした旨味と酸味のある酒質にするための挑戦でした。

能登牛とのマリアージュにこだわった日本酒「竹葉 能登牛純米」

こうして誕生した能登牛純米は、飲食店様、酒類取扱店様など各方面から大きな反響を頂戴し、発売を開始した早々に完売。また新規性や独自性に優れたブランド化の可能性ある製品として石川県から食品部門において最も優秀である「プレミアム石川ブランド」の認定を頂くこととなります。

その後、フランスのソムリエによる日本酒品評会「Kura Master」においても2018年、2019年と二年連続で金賞を受賞いたしました。

こうして、日本酒を通じ、地域食材の魅力を最大限に高める酒造りを加速させることになりました。

 

「食材特化シリーズ」で取り組むおいしさへのこだわり

酒造りは発酵に適した気温が低温であることから、外気温が低い11月から3月までがシーズンです。この時期に醸した出来立てのお酒のおいしさはフレッシュ感をともない格別なものです。同時に味わいの鮮度を保つためには保管温度や瓶詰め時の製法が重要です。

食材特化シリーズのおいしさを、年間を通して変わりなくお届けできるよう増産するにあたり、数馬酒造では2つの設備投資を行いました。

1、 保管のための冷蔵庫

数馬酒造では2020年9月にマイナス温度で貯蔵が可能な大型冷蔵施設を増設いたしました。
こちらの冷蔵庫に造りたてのお酒を瓶詰めした状態で保管しております。瓶の状態で貯蔵することでお酒が空気に触れる面積を最小化させ、経年劣化のリスクを抑えています。

2020年に増設した大型冷蔵室

2、 瓶詰め作業において

瓶詰めの際にも、酒質を損なわないよう瓶にお酒を密封した状態で火入れと急冷を行える設備を2018年に導入し、瓶詰めラインをリニューアルしました。
一般的に日本酒は「生酒」や特殊な製法のものを除き、発酵や腐敗を抑えるための火入れ作業を二回行ってから流通させています。食材特化シリーズにおいては、なるべく造りたての風味に影響がないよう、通常二回行われる火入れ作業を一回に留めております。

非接触型充填機と瓶のまま火入れ・急冷が行えるパストライザー

こうした「おいしさへのこだわり」は、「食の時」を大切にする数馬酒造の想いそのものです。

 

今まさに、心を寄せて

折しも、2020年からの新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、多くの生産者様や飲食店様が困難な状況に立たされています。
能登においては、農業や漁業といった一次産業を生業とする方が多く、食材特化シリーズにご協力いただいた生産者様への影響も少なくありません。我々も同様に自分たちの在り方について自問自答を重ねていました。

しかしながら、日本酒は人々の心を和らげるものであると、確信できた時間でもあります。「おいしい」がどれほど人々の心を励まし癒すかについて、改めて感じることができました。

コロナ禍中、何度も話し合いを重ね、経営理念を 『能登を醸す』 という一言に昇華。
数馬酒造は日本酒と食材がもたらす、おいしい、楽しい、心地よい「食の時」を最大化し、日本酒を通じて能登の魅力を高める存在であると決意します。

生産者様が心を込めて育てる地域食材に感謝するとともに、心和らげるひとときを楽しんでいただけましたら幸いです。

 

製品紹介:竹葉 能登牛(のとうし)純米

竹葉 能登牛純米
能登の特産品である「能登牛(のとうし)」を広く知っていただくため、能登の農業・畜産業・酒造業が連携して開発。
農業で発生する米のもみ殻を、畜産業が堆肥にして水田に返し、酒造業が磨いた米の米ぬかを牛の餌にして、互いの生産活動で生じる副産物を能登の地域内で循環させる取組みから生まれました。

味わいをすっきりとさせるために原料米は食用米である石川県の早生品種米の代表格「ゆめみづほ」を使用。
深みのある酸を出すために、生酛(きもと)仕込みにて醸しました。爽快な酸味と芳醇な旨みが肉の濃厚な旨味に相乗します。

  • 2018年度プレミアム石川ブランド認定
  • Kura Master2019 純米酒部門 金賞受賞
  • Kura Master2020 純米酒部門 金賞受賞

■おすすめペアリング

『りんごジャムソースの冷製しゃぶしゃぶ』
能登牛の脂はとても甘く濃厚です。「能登牛純米」はこの濃厚さに負けない酸味と甘みがしっかりと続き、能登牛とのバランスが秀逸です。レシピは下記Instagramよりどうぞ。

 

製品紹介:竹葉 いか純米

竹葉 いか純米
数馬酒造と同町内にある小木(おぎ)港は、日本有数のイカ水揚げ量を誇ります。その地域資源である「小木イカ」を活用した地域活性化プロジェクトの一環として、イカの味わいに寄り添うよう醸した日本酒です。

イカのねっとりとした甘みに合うよう、海洋深層水と海藻酵母を使用した純米酒に、熟成した純米生酒をブレンドしています。
甘・酸・旨のバランスで、バリエーション豊かなイカの様々なお料理にも合わせられる包容力が最大の魅力です。

  • 2019年年度グッド石川ブランド認定
  • Kura Master2020 純米酒部門 金賞受賞
  • ワイングラスでおいしい日本酒アワード2021 最高金賞受賞

■おすすめペアリング

『イカの塩辛簡単レシピ』
「いか純米」の甘味・酸味・旨味のバランスは、バリエーション豊かなイカのどんなお料理にも合せられる包容力を備えています。イカの魅力を高める日本酒をぜひお楽しみください。レシピは下記Instagramよりどうぞ。

 

製品紹介:Chikuha Oyster(チクハオイスター)

チクハオイスター
能登は牡蠣の養殖が盛んで、1~3月の旬の時期には牡蠣のイベントが町を興して開催されるほどです。この地域資源である牡蠣の味わいに寄り添うよう、牡蠣を土づくりに利用した能登産コシヒカリ、海洋深層水、ワイン酵母で仕込んだ日本酒です。

原料米の生産者様は農閑期に牡蠣の養殖を行い、牡蠣の貝殻を水田の土づくりに活かす活動を行っています。
また、実った稲を伝統的な「はざ干し」と呼ばれる天日干しで海風に当てながら乾燥させています。能登のはざ干しや凪いだ海に広がる牡蠣棚は世界農業遺産に認定された能登の里山里海の特長的な風景のひとつです。

能登の海風を感じるミネラル感と、爽快な酸が感じられ、すっきりとした味わいをお楽しみいただけます。

■おすすめペアリング

「Chikuha Oyster」はミネラル感と爽快さがあるお酒なので、牡蠣の溢れるミネラル感と相乗します。
また牡蠣が手に入らない、得意でないという方には海鮮を使ったカジュアルなお料理とぜひお召し上がりください。詳しくは下記Instagramよりどうぞ。

 

製品紹介:Chikuha gibier(チクハジビエ)

竹葉 gibier純米
野生生物の命に感謝し、田畑や農作物、美しい田園風景などの地域資源を守るために開発した日本酒です。

醸造を担当した蔵人自身も狩猟を行うジビエハンター。また、狩猟や革製品作り、ジビエ料理普及の活動を行う石川県の団体「狩女(かりじょ)の会」とも連携し、狩猟に関する最新情報提供やジビエの提供とご協力いただきました。
さらに、能登でイタリア料理店を営むシェフを招き、ジビエ料理との試飲を重ね、ジビエに寄り添う日本酒の味わいを追究しました。

山廃仕込み特有の酸、しっかりとした米の旨味がジビエの力強い味わいを受け止め、心地よい余韻とともに滋味深く味わえます。氷温貯蔵にて、一年半の間しっかり熟成させてからお届けするこだわりです。

 

製品紹介:竹葉 とり純米

竹葉 とり純米
2021年5月に発売の新しいお酒です。食卓でも外食でも親しみのある「とり料理」とのマリアージュを楽しむ、とり専用純米酒です。開発のきっかけは、地元飲食店関係のお客様からのお声でした。

酵母添加をせずに、米と水の力だけで醸し、鶏の弾力のある淡白な肉質や旨味、皮の脂をしっかりと受け止めるよう、日本酒の甘みと酸味を引き出して醸しています。

■おすすめペアリング

とり料理は弾力のある肉感、淡泊な肉質、皮の味わい、香りが共通しています。「とり純米」は甘みと透明感のある酸味、程よいコクがそれらに調和するお酒です。特に甘辛ダレがおすすめです。詳しくは下記Instagramよりどうぞ。


 

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