醸しコラム

Column

能登を醸す|数馬酒造 復興レポート9 6/1~30

2024.07.21

この度の地震に際し、たくさんの温かいお心寄せを頂きまして心より感謝申し上げます。
同じく被災なさった皆様にはお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧とご安全をお祈り申し上げます。

おかげさまで皆様からの応援を頂きながら復興への道を歩むことができております。
その様子をレポートとして綴ってまいりますので、ご覧いただけましたら幸いです。

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●2024年6月3日
とても嬉しいことがありました。この日、数馬酒造の仲間に新卒入社の新入社員を迎えました。
内定期間中に能登半島地震が発生し、本人はもちろんご家族を含め様々な思いが交錯したと察します。4月に予定していた入社時期は、地震の影響のために6月に延期となりました。それでも、たくさんのハードルを飛び越えて、能登で私たちと共に歩むことを選択し、飛び込んできてくれました。その思いしっかりと受け止め、期待に応えられるよう共に新しい未来を創っていきたいと思います。
 

●2024年6月6日
Makuake様の「能登の酒を止めるな!被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクト【第一弾・2024春】」のリターン返礼品の発送がありました。

被災酒蔵5社が集まり、返礼品の梱包を行いました。その様子は能登を醸す|数馬酒造 復興レポート8 6/6に綴りましたので、こちもご覧いただけますと幸いです。

 
翌日の7日には金沢市・しいのき迎賓館にてMakuake様プロジェクトのお披露目会があり、多くのメディアに囲んでいただきました。能登半島地震への意識が薄れゆく中で、未だ困窮した状態であること、そして長い支援が必要であることを強く伝えようとしてくださるプロジェクトメンバーの皆様の思いが痛いほど伝わってきます。
ご遠方から駆けつけてくださった協力蔵の皆様とも交流のひとときを持つことができ、皆様の思いを受け止めながら、こうして囲んでいただく幸運を思うのでした。
Makuake様プロジェクトのお披露目会
Makuake様プロジェクトのお披露目会

また、6月6日夜、世界規模のワイン品評会であるInternational Wine Challenge(IWC)2024のSAKE部門の発表がありました。
数馬酒造は「竹葉 百万石乃白 純米大吟醸40% 2022BY」にて、純米大吟醸の部シルバーメダルを受賞することができました。2024年の今品評会では地震により製造がストップしたため、貯蔵していた商品を出品いたしました。
昨年のIWCの授賞式にてご縁をいただき、能登半島地震の発災直後から温かいご支援を頂いた宮城県の新澤醸造店様は、12商品がゴールドメダルを、2商品で部門最高であるトロフィー賞を獲得され、3年連続の『Sake Brewer of the year』(最優秀蔵元賞)に輝く快挙を成し遂げられました。
同じくご支援に駆けつけてくださった長野県の湯川酒造店様は、純米大吟醸酒の部でゴールドメダル、純米酒の部でリージョナルトロフィーを受賞されました。
華々しいご活躍の皆様に置いていかれないように、共に切磋琢磨しながらまた肩を並ばせていただけるよう、諦めず精進していきたいと思います。
 

●2024年6月11日
長野県・岡崎酒造様から委託醸造品が届きました。
ラベルは岡崎酒造様の人気銘柄「信州亀齢」をオマージュした六角形に、緑色の竹葉の銘柄名をあしらいました。気品のある香りと透明感のある綺麗な甘みが伸びやかに続きます。能登の米と信州の清らかな水と技で醸された味わいです。⼀緒に造ると決まった時から岡崎様の圧倒的な推進⼒と包容⼒に励まされ続けました。六角形の竹葉をお手に取られた皆様も、きっと私たちと同じようにお喜びになってくださるだろうと目に浮かびました。

●2024年6月12日
岩手県・赤武酒造様から委託醸造品が届きました。
赤武酒造様のラベルに描かれる武将が握る剣をイメージし、銀紙を使った赤いラベルにしました。柔らかい米の旨味を感じられる、深く優しい味わい。すっと体に馴染んでいくような心地よさを感じます。東日本大震災を経験なさった赤武酒造・古館様は、やりとりをする度に温かい労りのひとことを添えてくださいます。ご経験なさった苦悩を私たちの心情に重ね、同じように想ってくださいます。「一人で抱え込まないように」「助けるじゃなくて一緒につくっていきたい」温かい言葉が胸の中に流れ込んでいきます。遠い岩手に感謝の念をたくさん飛ばしながら、出荷の準備をさせていただきました。
ご協力いただいた委託醸造品
ご協力いただいた委託醸造品を囲んで

●2024年6月18日
梅の実の収穫を始めました。
地震の影響で5⽉末になるまで⼿つかずになっていた珠洲市の梅畑。鬱蒼と茂った雑草の草刈りを済ませ、いよいよ収穫の日になりました。地震と雪の影響もあってか⼤きく枝折れした⽊が何本もありましたが、たわわに実を付けている逞しい梅の⽊に救われました。
たわわに実る梅
梅の実収穫
今年は現地の農家さんと、復興⽀援ボランティアの⽅も加え、3⽇間で約300㎏の梅を収穫しました。いろいろと心配事の尽きない日々でしたが、穏やかな気持ちで梅の実を収穫することができ、本当に良かったと静かに噛みしめていました。今年の梅は歴史的な不作と⽿にしましたが、⾦沢市と珠洲市からの⼊荷も合わせて約2.7tの梅が集まりました。
そして、弊社OBさんと復興支援ボランティアの方のお手をお借りし、酒蔵で早速ひとつひとつ手作業での梅の実のヘタとりをしました。

昨年から珠洲市の梅畑の農地管理を継承し、⼀つの梅の実を穫るためにどれだけの⼿仕事が必要かを、⾝をもって知ることになりました。同時にこれまで珠洲市の農家さんらがどれほどのご苦労と愛情を込めて梅畑を40年もの間、守っていらしたかを思い、感謝が込み上げます。継承の意味や真価は、まだまだずっと先になってしか分からないでしょう。今は⾒よう⾒まねの⼿習いです。収穫した梅が「⽵葉 能登の梅酒」になるまでにも2年を要します。⼿間ひまをかけるものづくりの大切さや愛おしさを、能登の梅に教えられます。

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皆様からの温かいご支援、励ましに心から御礼申し上げます。
皆様もどうかご安全に平穏でありますように。
これからも日本酒をお楽しみいただき、応援いただけますと大変有り難く存じます。

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