このような形で復興レポートを更新することになるとは、思いもよりませんでした。
9月21日に能登地方を襲った記録的な大雨は、元日の能登半島地震に重ねての甚大な豪雨災害となりました。能登の多くの方々が能登半島地震での苦難を乗り越えながら、なんとか立ち上がろうというタイミングでした。お亡くなりになられた方に心よりご冥福をお祈り申し上げます。
被害状況第一報にてご案内しましたように、幸いにも弊社では人的被害はありませんでした。酒蔵近くの梶川の氾濫は、土嚢による対策が奏功し、奇跡的に酒蔵建物への被害は免れました。
また第二報にてお伝えしましたように、弊社においても仕込み水取水地の配管損傷など、その他の被害が徐々に明らかになります。製造用の水の実質的な断水により、予定していた瓶詰め作業は一時中止となり、修繕を待つ状態です。
さらに、昨年から管理を継承した珠洲市若山地区の梅畑では、すぐ側にある若山川が大きく氾濫しました。
私たちが確認に訪れると、裏山から小さな橋や道路を突き破りながら大量の土石流が流れ込んだ形跡が残されており、梅畑にはごろごろと大小の岩が転がり、厚い土砂が一面を覆っていました。
自然のすさまじい破壊力に恐れを抱きながら、新たに作られた小さな渓流を眺め、しばし茫然と立ち尽くしました。こんな時、為す術は何もありません。ただ、梅の木はそれでも緑の葉を付けたまま、まっすぐに立っていてくれました。
管理のお手伝いをいただいている近隣の農家様の無事を確認できた時の安堵は言葉になりません。それが何よりの救いでした。変わり果てた梅畑を高台から眺めながら、とにもかくにも温かいお茶を一杯、一緒に飲みました。
そして心配していた能登町と志賀町の契約農家様らについては、幸いにも大きな被害には至らなかったとの一報があり、まずは胸をなで下ろしました。これからお米の収穫を迎える大切な時期でした。収量への影響は否めませんが、ますます能登のお米の大切さを噛みしめています。
能登半島地震から8ヶ月目の大きな災難には、言葉にならない苦しさを感じています。被害の大きさや、悲しい出来事を見聞きする度に、胸をえぐられるようです。
酒蔵では10月から今季の酒造りの第一歩を踏み出しました。今は、私たちがするべきことに真摯に向き合い、心を寄せ、共に能登を想う。その一心をただひたすらに強めています。