こんにちは、広報スタッフです。7月下旬に今期の酒造りも無事に納めることができました。ここから10月の酒造りが始まるまでは、ひとときの休息とともにスキルアップに磨きをかける期間でもあります。今回のコラムでは、7月に社内きき酒勉強会を行いましたので、その様子をレポートいたします。
7月10日に、社内きき酒会を行いました。多くの酒蔵が夏の酒造りオフシーズンに「呑み切り」を行います。「吞み切り」は貯蔵しているタンク内のお酒の香味や熟成度合いなどの状態を確認するために行います。吞み切りによって、秋に出荷する「ひやおろし」のタンクを決める酒蔵もあるようです。今回はタンク貯蔵のお酒に加えて、火入れして瓶詰を施した市販酒についてもきき酒をしました。
ちょうどこの日は蔵の建て替え工事に伴う停電があり、通常業務ができなかったこともあり、全社員できき酒会を行いました。
数馬酒造ではお酒の発売前に試飲してお客様に魅力を説明できるよう努めていますが、一堂に会する多種のお酒をきき酒する機会は多くなく、比較しながらテイスティングすると、それぞれのお酒の違いがはっきりと分かり、新たな魅力発見に繋がったという声もありました。

7月30日の勉強会では、加賀市山中温泉の『和酒 BAR 縁がわ』店主の下木様をお迎えして、日本酒の表現について学ばせていただきました。下木様は唎酒師の最高位資格「酒匠(さかしょう)」をお持ちで、5万名を超える唎酒師のうち1%と言われる日本酒のスペシャリストです。
講義では「地域の小さな飲食店が、どう日本酒の価値を伝えるか」をテーマに、下木様が日本酒の価値を高めるために日々実践されていることを、きき酒やペアリングなどのワークショップを交えて教えていただきました。

きき酒の授業では写実的表現と抽象的表現を組み合わせて、テイスティングコメントを考えます。社員は3班に分かれて、自由な発想で皆さんの表現力を爆発させていました。この際、きき酒をしたのは「竹葉 能登大吟」と「竹葉 大吟醸 百万石乃白」です。とってもおもしろい結果になったのでご紹介します。


「竹葉 大吟醸 百万石乃白」
1班)中世ヨーロッパのツンとしたぴりついた社交場のような味わい
2班)マンゴー、パインのような、甘酸っぱさを感じる初恋のような味わい
3班)綿あめや白い花のような香味。ドレスアップした女性が華やかに踊っているような味わい
さて、どうでしょうか?「竹葉 大吟醸 百万石乃白」を飲んでみたくなってきましたね?(^^笑

ペアリングの授業では、『和酒 BAR 縁がわ』の料理人・山崎様が4種類の竹葉に合わせたメニューをご用意してくださいました。それぞれにご紹介いたします。
「竹葉 能登純米」と「スイカとキジハタ、ナスのスモモヌタ」
食材の香味を引き立てるペアリングです。「竹葉 能登純米」とあわせると、ヌタに入ったミントが引き立ち、より一層お酒の清涼感を感じさせます。酢の代わりにスモモを酸味の要素として取り入れ、果汁感のある優しい酸味がお酒の繊細な甘味と相乗します。スイカのシャクシャクとした食感も楽しく、夏らしい一品でした。

「竹葉 純米大吟醸40%」と「冷やし梅餡 パンプキンサラダ」
食材と日本酒が同調するペアリングです。「竹葉 純米大吟醸40%」のフィニッシュのなめらかさと、かぼちゃのなめらかさを合わせ、主張していた食材たちが上手くまとまります。お酒の杏のような甘酸っぱさと梅餡もリンクしているように思いました。まったりと長い余韻が、上質な時間を感じさせます。うっとり。

「竹葉 能登上撰」と「ホタルイカの沖漬け」
ノイズを起こし、商品イメージを呼び起こすペアリングです。「竹葉 能登上撰」といえば、普段使いの「いつもの酒」というイメージ。柔らかな口当たりで、どんなお料理とも合わせやすい、懐の深いお酒です。対するホタルイカの沖漬けは磯の香りや旨味が強くあります。この二つを組み合わせることで、お酒の隠れていたピリッとした辛味(今回でいうノイズの要素)が引き立ち、商品イメージの「普段使い」「いつもの」といったカジュアル感を想起させます。

「竹葉 純米吟醸」と「トマトのピクルス」
日本酒の香味を引き立てるペアリングです。「竹葉 純米吟醸」はすっきりとした輪郭に、酸味と旨味のバランスが良いお酒です。そこに酸味を効かせたトマトのピクルスを合わせることで、お酒のクリアさを引き立てます。またお酒とミニトマトの青みのある爽やかさをリンクさせているように思いました。

この他にも、酒器による味わいの感じ方の変化や、ペアリングコースの設計なども学びました。2時間の講義でしたが、さらに深く知りたいという探求心が刺激され、時間が経つのも忘れて没頭してしまいました。
この日に学んだことを今後の業務に活かして、おいしい日本酒を造り続けることはもちろんのこと、日本酒の魅力を表現し、共有し、その奥深さを一人でも多くの方にお届けできればと思います。
最後になりましたが、『和酒 BAR 縁がわ』の皆様、この度は貴重な体験をありがとうございました。