昨年末に復興レポートを綴ってから、早くも7ヶ月が経ちました。
蔵の建て替え工事を行いながら酒造りと出荷作業を行っているため、様々な制限はあるものの、今季も無事に酒造りを納めることができました。
能登へ観光に来られる方々も少しずつ増えたように思われ、有り難く思っています。
2026年前半の出来事を綴りたいと思います。
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●新入社員を迎えて
嬉しいことに、今年も4月に新入社員を迎えました。新卒入社は3年連続となります。今年は10代の社員の入社となり、若さが一層まぶしく感じられます。これで、数馬酒造のメンバーは10代から80代までと、ほぼ4世代が入り交じる構成になっています。新入社員のジョブローテーションでは希望にみなぎる姿に触れ、ベテラン勢も良い刺激をもらっています。
●社員総会
4月24日には社員総会を行い、上半期を振り返りました。下半期には建設中の新蔵2棟が完成し、残りの被災蔵の解体が始まります。一昨年から続けている外部指導による整理整頓活動は一層進展し、現在は新蔵に取り入れるための作業効率向上のスキームなどを学んでいます。
未だ復興の最中にありますが、より良くなる方へと、明るい目線を大切にしています。
●「手取川」吉田酒造店様を訪ねて
5月下旬には、醸造チーム一同で白山市の吉田酒造店様を見学させていただきました。かねてより蔵の衛生管理の向上に努めてきましたが、吉田酒造店様の徹底した衛生管理や、微生物との向きあい方、そして自然と寄り添う姿勢など、大変勉強になりました。白山市と能登町それぞれの土地を思いながらの酒造りは、互いに共感するものが多く、頂いた学びを自社にも活かしていきたいと思います。

●生酛造り復活への挑戦
酒造り終盤の時期には、醸造社員たちは各人の責任醸造や、試験醸造に取り組みました。先日は生酛(きもと)造りの「酛すり」作業を行いました。能登半島地震以来、醸造環境の変化によって、蔵内の微生物の力を借りる生酛造りのお酒は狙い通りの酒質に仕上げることが出来ず、販売を中止しています。しかしながら醸造現場は諦めずに挑戦を続けています。
「酛すり」作業では、蒸した米や米麹、水を桶の中に入れて液体状になるまですり潰して、乳酸菌が育つベッドをつくります。二人一組息を合わせて、櫂棒を動かしていました。上手くいくかどうか。願いを込めながら菌の声に耳を澄ませます。

●継承した梅畑での摘み取り、梅仕事
6月中旬には、梅の実を収穫しました。2023年から農地管理を引き継いだ珠洲市の梅畑ですが、2024年の奥能登豪雨での土砂流入の影響が今年になって出てきており、昨秋の剪定の甲斐もなく、今年は梅の実がほとんど実りませんでした。いよいよ貴重になった能登の梅を一粒一粒、大切に摘み取りました。近年では梅酒仕込みのための梅の実は金沢産に頼ることになっています。細々であってもなんとか能登の梅畑を守っていけたらと思います。
収穫後のヘタ取りではOGさんのお手もお借りしながら、年に一度、芳香を楽しみながら梅を囲み、合間に互いの話に花を咲かせることも蔵の風物詩です。
毎年、梅酒の仕込みは酒造りとあばれ祭準備と並行して行われるため、新酒の時期と同じくらい目まぐるしい季節です。今年の梅酒仕込みには、作業改善を目指した小さな挑戦を試みています。


●あばれ祭
7月3、4日には地元の祭礼「あばれ祭」が行われました。穏やかな街が熱気に包まれる数日です。社員の多くが祭りに参加するため、地区出身者以外で直営店を切り盛りしました。普段とは違う持ち場ですが、一同気合いを入れてお客様をお迎えしました。
神輿の灯りとなるキリコは、能登半島地震直後は30基ほどに減ってしまいましたが、今年は約40基のキリコが街を照らしました。地元の方のみならず、能登半島地震をきっかけに、能登やあばれ祭に触れてくださった方々が「今年もまた来たよ」と集ってくださったり、新しい方をお連れくださったり、そうして皆様が心を寄せてくださるおかげで今年も盛大に祭を行うことができました。

●甑倒し、そして皆造へ
6月25日には「甑(こしき)倒し」を迎えました。蒸し米の作業を納める甑倒しは、酒造りの一段落とも言えます。無事に節目を迎え、ささやかに祝宴を設けました。
そして7月24日にはついに皆造(最後のもろみを搾ること)を迎えることができました。これからひとつひとつ仕舞い仕事をしていきます。また10月から始まる酒造りまでの大切な一息。蔵の修繕や設備の移動、清酒学校など、メンテナンスとインプットを詰め込む期間です。
●第一工期 瓶詰め工場と貯蔵蔵の建設
昨年7月に解体した蔵2棟の跡地に、瓶詰め工場と貯蔵蔵の建設が進んでいます。6月に入ると、建設中の瓶詰め工場の足場が取れて、建物の外観が露わになりました。街の方々から「できてきたね」と声を掛けていただき、お気に留めていただいていることに感謝しつつ、完成が一層楽しみになっています。
貯蔵蔵が完成すれば仮置きしていた大型冷蔵庫を戻し入れることができます。そして瓶詰めラインを移設して、第一工期は完了です。貯蔵施設のキャパシティはいよいよ逼迫しており、臨時蔵置場を設けながら窮地を凌いでいます。

●第二工期の始まり
第一工期完了から間もなく、秋からは出荷場と精米所の解体も順次始まります。足元が湾曲し亀裂が入って傾いた建物の中で出荷作業をこなすのも、もうしばらくの辛抱です。被災から手つかずだった、出荷場2階に取り残された什器なども解体同時に救出できればいいのですが。
第二工期の完了は順調に進んで来年の秋です。製造を止めずに工事が完遂するよう一体感をもって乗り越えていきたいと思います。
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本レポートをまとめている最中の2026年7月28日に、令和8年熊本地震が起きました。
今は被災された皆様の一人でも多くの方の無事を心から祈るばかりです。
ニュース映像や音声は能登半島地震のことが思い起こされ、胸が強く締めつけられます。
能登半島地震から2年半が経過し、復興レポートは14本目となりましたが、未だ、私たちの現在地は半ばです。もう少しばかり復興できている能登を想像していましたが、依然として折り返し地点の手前なのかなと思います。
できないことではなく、できることに目を向け、この日々に感謝し、手を取り合いながら目の前のことに誠実に向き合っていきたいと思います。