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地域資源保全酒「Chikuha gibier(チクハジビエ)」

「Chikuha gibier(チクハジビエ)」は、野生生物の命を粗末にすることなく、感謝の気持ちを込めてジビエという地域資源の食材として活かすために開発された“地域資源保全酒”です。

近年、能登でもシカやイノシシなどが里に下りてきて、田畑を荒らすようになりました。数年前までは見られなかった田んぼの電気柵も増え、生産者の悩みの種になっています。
過疎化による山林の荒廃や地球温暖化による環境破壊など様々な要因によって、里に下りてくる野生動物が増えているのも事実です。

最近では、その野生生物を地域資源に位置付け、ジビエとして利用する動きが広がっています。しかしながら各自治体によって捕獲体制が強化されるものの、有効に活用されている件数が少ないのも現状です。
ジビエ文化が生まれたフランスでは、古来より動物の尊い生命を奪う代わりに肉から内臓、骨、血液に至るまで、全ての部位を余すことなく料理に使い、生命に心から感謝をささげようという考えが根付いています。
石川県もまた「いしかわジビエ利用促進研究会」を立ち上げ、捕獲されたシカやイノシシを野山に廃棄するのではなく、食肉として有効活用することに力を入れています。
そこで私たち数馬酒造ができることとして、ジビエの利用を促す、ジビエ料理に合うお酒「Chikuha gibier(チクハジビエ)」を企画いたしました。

gibier(ジビエ)は天然の野生鳥獣の食肉を意味する言葉(フランス語)です。フランス料理界では古くから高級食材として重宝され、特別な料理として愛され続けてきました。また、海外ではとても人気のある食材です。
能登の豊かな自然で育ったジビエは脂肪が少なく品のある味わい。栄養価も高く、滋味深いごちそうです。そのジビエに合うお酒を提供することで、ジビエ料理の普及促進の一助になれば幸いです。

また、野生動物を適切に捕獲することで、田畑を荒らされた生産者の収入減少や営農意欲の低下による耕作放棄地増加の歯止めに繋がり、その先に野生動物と人間がうまく住みわけできればと願います。

こうした背景で商品開発に着手した「Chikuha gibier(チクハジビエ)」は、「狩女(かりじょ)の会」にもご協力をいただきました。「狩女の会」は石川県内で狩猟を愛する女性が集まって交流を深め、情報交換することを目的に結成された団体です。開発会議では奥能登地域の狩猟状況や課題についてヒアリングを行い、実際にジビエ料理の試食とお酒の試飲も行いました。

また酒質設計にあたっては、地元能登でイタリア料理店を営むシェフをお招きして、イノシシやシカ、クマなどのジビエ料理とお酒のマリアージュ勉強会を開きました。この勉強会には蔵人だけでなく事務職から営業職まで全員が参加して“ジビエに合う日本酒”を追究しました。

さらにこのプロジェクトリーダーの蔵人は「わな猟」の免許を持ち、自らも狩猟を行うジビエハンターです。
『ジビエを嫌う人は多いが、日本酒とのペアリングを楽しむことでジビエに対するハードルが下がれば嬉しい。脂身の少ないジビエに、味わって重み深みのある「Chikuha gibier(チクハジビエ)」をぜひ合わせてほしい』と語ります。また、狩猟は動物の命を奪う行為であり、そればかりにフォーカスされると精神的に辛く、田畑をはじめ林業・農業を守るために狩猟があり、さらにジビエとして広く普及し、皆様に楽しんでもらえると気持ちが救われるといいます。

野生生物をジビエという地域資源の食材として活かすことで尊い命に感謝し、また、田畑や農作物、美しい田園風景などの地域資源を守るきっかけになれば幸いです。
 

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