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採用サイト | 数馬酒造株式会社

04 - people

人を知る

社長+責任者 クロストーク

働きやすさが品質を生む。社長と責任者が、働きやすい環境づくりと数馬酒造の未来について語る本音座談会。

  • 代表取締役

    数馬 嘉一郎

    数馬酒造代表取締役。東京でベンチャー企業に就職後、Uターン。5代目蔵元として24歳で蔵を継ぎ、経営に特化。趣味は読書(ビジネス書)。

  • 販売課責任者

    数馬 しほり

    石川県穴水町出身。東京でのメーカー営業を経験後、結婚を機にUターン。販売課責任者と広報を務める。国際唎酒師を取得し、ペアリング提案などを行う。趣味は茶道と華道。

  • 醸造責任者

    栗間 康弘

    東京都東村山市出身。東京農業大学醸造学部卒。2011年数馬酒造入社。2015年より醸造責任者となり、自らの研鑽と後進育成に励む。趣味は飼い猫のお世話と親しんだ飲食店でのひとときを楽しむこと。

Session.1

数馬酒造ってどんな会社ですか?

数馬(し) いい意味で、伝統や格式にとらわれないチャレンジ精神と、フレンドリーな雰囲気がある酒蔵なのかなと思います。社員さんの親しみやすく素直な感じがそのまま社風として出ている感じはあります。

数馬(嘉)僕が社長になった当時、蔵元が酒造りをして自分でブランド立ち上げて販売される方々もいらっしゃったのですが、尊敬する先輩経営者の方々に相談した時に、経営に集中しなさいとアドバイスをいただいたんです。経営と酒造りでは、使う頭も必要な能力も違うので、経営と醸造の責任者は分けた方がよいのではないかと考え、自分は経営に特化して、酒造りは栗間くんに任せるっていうことを自分の中で決めました。社員のみなさんとの信頼関係を作って、働きやすく、やりがいを持ってチャレンジできる環境を作っていくことを意識しています。

栗間若手が多くて、全員が責任感を持って仕事に取り組んでいる感じがありますね。
僕が入社した時は季節雇用の杜氏の方が中心となって酒造りをしていました。社外の方にお酒の味を任せるような形なので、酒造りの核たるところを社内で育むことができませんでした。造ったお酒の熟成の仕方や、営業の人達が頑張って売ってくれる様子を追うことができず、社内コミュニケーションも取りづらい状態でした。それに違和感があり、社長と話をして、社員杜氏制に舵を切ったことが大きかったです。

数馬(嘉)特に、栗間くんが醸造責任者になった10年ぐらい前から、栗間くんを中心とした若いチーム作りっていうのを醸造の現場から始めて、徐々に会社全体としても若返っていったっていう、そこら辺から組織とかチームのあり方が変わっていったって感じですね。

栗間酒造りの技術が会社に残る状態を作りたかったんです。僕は能登杜氏組合に所属して、組合の中では「杜氏」という立場なんですけど、会社では「醸造責任者」という肩書を設けて、組織作りを始めました。もちろん最初からうまくいくとは思っていませんでしたが、経営陣と社員との信頼関係を築いていきながら、ちょっとずつ軌道に乗っていったという感じですね。

数馬(し) 私が結婚した当時は女性が気安く酒蔵に入ることも良く思われていませんでした。今はもう全然そんなことはなく、みんな蔵に入っていったりと、コミュニケーションの回数が増えて、会社全体がひとつのチームになれていると思います。各部門の責任者も伸び伸びと生き生きと働いてもらいたいと思ってるから沢山コミュニケーションをとるし、そういったことの積み重ねで働く環境も意識も変わったっていう感じはすごくありますね。

数馬(嘉) お酒を造るまでじゃなくて、届けるまでが酒造りなので。お客様の口に入る時に味が初めて伝わるじゃないですか。そこまでを一緒に見てくれるし、議論もできるし、っていうところが一番大きいですよね。お客様目線で言ったらいかに良いお酒を搾るかじゃなくて、いかに良い状態で届いてるかっていうところまでを、ちゃんと酒造りの責任者も一緒になって把握もできるし、議論もできるし、改善策も話し合えるっていうのは大きいですよね。

Session.2

働く環境について

数馬(し) 以前は部署間の分断を感じる場面もありました。各部署の目線が一致していなかったんでしょう。でも今は社員全員が“お客様の口元に私たちのお酒が届くまで”に集中してるんですよ。もちろん、すぐにそのような形になったわけではなく、SNSを通じて届くお客様のお声や、継続的な繋がりをもってくださる「Fun Fan Chikuha!」の会員様の存在によって、自分達のお酒に向き合う時間をもらえたんですね。
そこで改めてお酒の素晴らしさとか面白さとかに私たち自身が気づくことができて、お客様の口元に美味しいお酒を運ぶために日々の仕事があるんだっていう、その目線が決まったことは大きくあるのかなと。

栗間 当たり前なのですが、大切なことはお酒を美味しくするってことだったんです。お客様に喜んでもらえる品質にしっかり上げていくことで、上げていったらみんなのコミュニケーションも活発になって、働くみんなが良い雰囲気になったんです。一か所変えただけじゃそうはならないんで、全部の部署のちょっとずつを変えていって、結果的に品質もさらに良くなってみたいな。

数馬(し) 一生懸命お酒を造ってても、貯蔵で台無しにしてたことが沢山あったんです。せっかく造ったお酒が貯蔵や流通の仕方で、美味しさを保てていないことがあってすごく悔しい気持ちになったんですね。それを改善するためにどうしたらよいか?そういうのをみんなで考えて取り組んでいくことで、みんなでお客様の口元に届くまでを最高の状態にしようというチームになったんだと思います。

数馬(嘉) 人にとって良い醸造環境ならば、お酒の品質も上がるだろうという仮説がまずありました。社員さんが働きやすく、過ごしやすい環境を整えると、品質も上がっていくんですね。品質を上げた結果、労働環境が改善したわけではなく、逆なんです。働き手を最初に主役にしたというか。

栗間 そうですね。事務所の方に言われたんですけど、「泊まり込みでお酒を造っている時期は、蔵から出てくる時の顔が暗かった」と。そんなんで良い酒が生まれるのかと考えるきっかけとなった言葉です。それならば泊まり込みの酒造りもやめよう!って、なりましたね。労働環境の改革目的と意識が社長と合致して、翌年の酒造りから採用されました。「そういう考えで取り組むと、絶対お酒が良くなると思うから」と社長に言われたことが後押しとなりチャレンジできたって感じです。

数馬(嘉) すごいですよ。今は7時間労働で、土日休みですからね。そこからまたもう一歩、先へ行こうとしている。

Session.3

数馬酒造の働き方改革

数馬(嘉) 僕の中で、数馬酒造を働きやすい会社にしたいという思いがあり、その条件に当てはまらないことは辞めていこうと考えました。自分がお酒造りをしないと決めた以上は、自分が歓迎できないような環境を社員さんに提供してはいけないというのが強くあるので。こういうのは嫌だなと思うような働き方は改善していかないとっていうのがずっとありましたね。

数馬(し) 事務方サイドも激変しています。以前は19時過ぎても在庫や現金が合わないと遅くまで残っていたりしました。会社としてのお休みは1月1日だけで、あとは年中無休だったんです。今や土日休みで、1日7時間、17時に完全撤収みたいな。だからそれを長年勤めている方から聞くと、本当に全く違う会社になったって。メリハリを持つことで、個人スキルもチームワークも飛躍的に向上していると感じます。

数馬(嘉) 成長していかないと無理だよね。業務量は増えてるのに。

数馬(し) そうなんです!もちろん、そのために沢山改善をしました。情報整理するとか、いろんな小さな積み重ね。整理整頓とかもその一つなんですけど。

数馬(嘉) なので捉え方によっては過酷かもしれないです。24時間使っていいから美味しいお酒を造ってと言われてるのと、7時間で美味しいお酒を造ってって言われてるみたいなもんなんですよ。だから、相当工夫しなきゃいけないし、技術も絶対いるし、改善の連続なんです。そういう意味では、働き方が改善するとともに一人一人のレベルが確実に上がっています。

栗間 当初はいろんな意見が出ましたけど、それが意外と功を奏してうまく進んだって感じなんですね。社員一人一人が意識をもって取り組むことで、限られた時間でも成果が出るようになりましたね。

数馬(嘉) そうですね。役割を明確にして、担当者不在の仕事をなくしていったんです。最初は、これはどっちの仕事?という議論も当然あるんですけど、それが明確になればなるほど、その中で改善すればいいんだ!となり、それぞれの担当とか、持ち場が明確になったおかげでそこに集中できたっていうのはあるかもしれないですね。

数馬(し) 加えて、気づきシートっていうのを全社員でやります。日々の業務や活動を振り返り、気づいたことや学んだこと、改善案を提出します。責任者がフラットな関係でいるので、こうした方がいいんじゃない?みたいなことを発言しやすい環境を積極的に作っています。

数馬(嘉) 全員が改善の意識は高いと思うんですけど、それはなぜかといったら、責任者のおかげですね。聞いてみたいんだけど、変化の文化ってどうやって作ってる?

数馬(し) ミッションや倫理観を揃えたっていうところですかね。だからこそどう思う?っていうことを言えるんですよ。その倫理観が揃ってないと、それぞれの考えになってしまうので。みんなが何をするべきで、何のためにここにいるのかっていうのを統一してるから、考える答えが正しくなるんですよね。その上でチャレンジすることを当たり前にしていくこと。

栗間 結構早い段階から、チャレンジって言葉も入ってましたよね。

数馬(し) 柔軟性と挑戦ですね。

数馬(嘉) 本当に変化に強いと思います。働きやすいかどうかの答えって僕も持っていないんですよ。仮説はあっても。働いてる人が働きやすければ、それが答えじゃないですか。なので、正解持っている人たちが直接改善した方が働きやすいにつながるので。

数馬(し) あとは1on1ミーティングの中で、社員一人一人の悩みとか、こうしたほうがいいんじゃないかっていうのを拾って、制度にしたりとか、形にしたりということが結構あるので。

数馬(嘉) 小さな悩みや不安、困りごと、改善したら良いと思うことは、定期的に話して改善してもらったり、会社としての改善が必要だったら経営者としてできる限りしたいと思っています。

Session.4

社員の皆様に対して心がけていることはありますか?

数馬(嘉) 組織の階層を少なくしたいっていうのがあって、今は三階層にしてます。役員、責任者、あと全員って感じで、スピードを速く、壁を少なく。意思決定の階層が深くなるほど、改善への時間がかかります。それをできるだけ短縮するために、最低限の三階層にこだわっています。僕は「人が全て」という言葉を行動の指針にしていて、それを体現するためにサポートできる立場でありたいと考えています。あとは一貫性ですね。自分の言ってることとやってることが変わらないように意識しています。二人はどうかな?

数馬(し) 気持ちよく過ごせていると絶対良いパフォーマンスが発揮できるんですよ。だから、その人らしさを活かすってことは常に考えています。もともと持っているホスピタリティが高いメンバーなので、業務の細かいひとつひとつは気にしていません。それよりも快適に仕事ができているかどうかを気にかけてます。業務もルーティンとアンルーティンでざっくり分けて、それぞれの得意を発揮してもらっています。

数馬(嘉) それぞれ強みを生かす事だよね。業務に人をはめるというよりも、その人の特性を活かして適した業務をしてもらうっていう。

数馬(し) そうですね。

栗間 僕は前まで、ミスした時に技術的なことをチクチク言っちゃってたんです。でも最近は、自分自身の成長もあり、ミスした時の修正ができるようになってきたので、細かい注意ではなくカバーとアドバイスという形にできるようになりました。とはいいつつ、まだまだ技術力を培っていかないといけないので、僕自身が勉強会などに参加する時間を作って、どんどん知識を蓄えていきたいと思っています。

数馬(嘉) ミスが発生した時は人を責めずに仕組みやルールを改善して解決しましょうという社内ルールがあるので、人を責めることはなくなったよね。

栗間 そうですね!個人を責めないので隠蔽体質もないし。ミスしたらシステムを見直せっていう感じなので、その部署毎でやり方を改善しようってなってますね。

数馬(し) 今、クレームとか本当になくなりました。ミスもすごく減ってるし。探しものも減ってるし(笑)。

数馬(嘉) 人を責めていたら、その人次第でミスがゼロになったり、また出てきたりするんですけど、仕組みやルールとか普遍的なものを改善したから減ってく、やればやるだけ減ってく。

栗間 その人だけのミスじゃないですからね。

数馬(嘉) そう。全員そう受け取ってくれるのも大きいですよね。誰のミスだとか、なんでそんなことをしたのかとか、犯人探しをするところもあるじゃないですか。そんな会話に一切ならない環境はすごくいいなと思います。

Session.5

これからの数馬酒造について

数馬(嘉) 震災を経験して、改めていろいろと考える機会を頂きました。
今、能登で生きることを選んでいる方にとって、いい未来をつくっていく酒蔵にしていきたいと考えています。だから、酒を造るだけじゃなくて、地域もつくっていく。そんな意識をもって、会社としてミッションを変えてでも様々なことにチャレンジしていこうと考えています。新しい未来を切り拓いて、どんどん能登を変えていこう!っていうような起点になるような会社でありたいなと思います。

栗間 そうですね。社員や知り合いが能登を離れていくっていうことが、こんなにも悲しいことなんだなっていうことを震災をうけて痛感しました。この悲しさを知ってしまったからには、これを他の人にも同じ思いをさせちゃいけない。

数馬(嘉) 地域づくりをしないと大事な酒造りが続けられないフェーズだなっていうところですね。今やりたいことは正しい選択肢の選び方っていうよりは、困難への立ち向かい方っていうのを体現していきたい。こういう時にこそ、会社として、酒蔵として何をすべきかを考え、行動に移していくことが僕たちの使命だと思います。

数馬(し) 励ましの言葉って人を未来にむけて走らせることができるんだっていうのを、地震を経験して思いました。待ってる人がいるっていう使命感に向かえる幸せみたいな。待っててくれてる人がいるからやんなきゃ!みたいなのがあることの喜びみたいな。すごい励まされましたよね。

栗間 直近なことでいうと、お子さんのいる社員さんが通院するのに、穴水だと往復で2時間ぐらいかかって、それがすごい辛いらしいんです。だから、そのための体力を仕事で全部使ってしまわないように、家族のために体力を残しておけるような、そんな働き方を考えていきたい。

数馬(嘉) 暮らしまで意識した働き方の改善をしていかないといけないよね。会社にいる時の働き方だけを意識した働き方の見直しとか改善じゃもう間に合わないっていうか。より短時間で、肉体的にも精神的にもより負担なくというような働き方をして、さらに成果も上げ続けて魅力的になって、若い方や新しい方がどんどん能登に入ってきて、能登を変えたい。その起点となるような会社にしていきたいと思いますし、絶対に実現していきます。

※このクロストークは2025年3月に行いました。

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