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ものづくりが好き!クリエイティブな酒造りにチャレンジし続ける製造部メンバーの本音トーク!!
Session.1
堀川
大学では国際文化交流学部で、その中でも観光や地域創生について学びました。就活はお酒関係に絞っていたわけではなく、最初は別業界または別業種を考えていたんですけど、インターンで小松市のオープンファクトリーイベント(工場見学)に携わったことで、ものづくりが好きだなと感じたことと、地域に関わることをしたいという思いで、数馬酒造を選びました。
数馬(慧)
地域の活性プラス、ものづくりみたいな?
堀川
そうですね。能登の素材を活かして能登でお酒を造ることで、能登の魅力を高めるという経営理念に惹かれて。あと、自分がたまたま人生で初めて飲んだ日本酒が数馬酒造のお酒で、それがとてもおいしかったっていう記憶があって、それで記憶に残っていたっていうのもあります。
安竹
僕は前職がコーヒーの専門店で、接客業がメインでした。働くうちにお客様との対話よりも、コーヒーを淹れる時間や焙煎に向き合っている時が心地よく、そういうものづくりの方向がすごく僕は好きなんだなと思って、転職を考えました。
最初はコーヒーの焙煎の仕事を探していたのですが、たまたま石川県のものづくり系の求人を探してた時に数馬酒造が目に入って。堀川さんと同じで、経営理念に共感を抱いて興味を持ちました。耕作放棄地をこんなに変えたんだ、とか。そういった地域貢献を理念に掲げている点は、働く側として理解しやすくブレがなくて良いなと思いましたし、酒造り自体にも以前から興味があったので志望しました。
数馬(慧)
僕は社長の弟でして(笑)、大阪で鋼材を取り扱う会社の営業をしていました。兄が家業を継ぎ、季節雇用の杜氏制ではなく社員で酒造りするタイミングで、兄に帰ってこないかと誘われたのが入社のきっかけです。
Session.2
安竹
僕と堀川さんは同じ醸造課で、お酒を造る仕事がメインです。原料となるお米を洗ったり、それらを大きな釜の中で蒸したり、お酒を造るのに必要な麹(こうじ)米を育てたり。米からお酒になるところの仕事をしています。
数馬(慧)
醸造課がお米からお酒を搾るまでを担当し、製品課はそこから先の、搾ったお酒を製品にするということを担っています。具体的には原酒に加水して、アルコール度数を落として、ろ過して、瓶詰めして、ラベルを貼って製品にするところです
安竹
課は分かれていますが、状況によってはそれぞれサポートし合える関係でして、僕らも人数が足りない時に瓶詰めの方にお手伝いに回ったりしています。
Session.3
数馬(慧)
入社した時に比べて残業がほとんどなくなりましたね。残業って滅多にしなくないですか?
安竹
残業しないっていう空気ですね。いかに17時までに終わらせられるか。終われないんだとしたら、どこかに無駄があるのか、もしくは詰め過ぎなのかみたいな。それで、その日やっていたスケジュールを次の日にずらしたりとか。それぞれがやっている仕事の進行度合いの確認も兼ねて、密にコミュニケーションをとっています。
数馬(慧)
スケジュールの見直しを話し合ううちに、自然と仕事でも優先順位付けやすくなりました。これは今日までにやっておいた方がいいなとか、これは別に明日でもよくない?とか。そんなに遅くまで残ってる必要ないよって思ったりします。
安竹
現代に合っている考え方なんだろうなっていう。遅くまで働いた人が偉いんじゃなくて、同じ質でも短く働いた人の方がいいに決まってると思います。
数馬(慧)
17時ぐらいに帰れたら晩御飯の準備とか、やりたいこともできますしね。働き方が変わったなと感じます。
安竹
あとは、気づきシートという、毎月社長に業務内容の改善案を提出するという習慣ができています。ある意味、月に一回自分たちの仕事を振り返るような機会でもあると思うので、日頃やっている作業に対して、ここはもっとうまくできないかな、みたいなことを考えるきっかけになっています。最終的にそれをチーム内で話すことによって、実際に良くなることもありますし。
数馬(慧)
そういう話し合いの場から、じゃあこれをやめてみるかとか、これやってみるかというのがあるからいいんじゃないかなと思います。
安竹
この作業がややこしいんだったら、もっと簡略化させていきましょうみたいな。専門性があるようなものだと、その人がいなかったらできないことになっちゃう。そうすると会社として滞ってしまうので、誰でもできるようなやり方に変えてしまう。風潮として、変化を受け入れる会社ですね。
数馬(慧)
栗間さんが責任者になってから変わってきたと感じます。食材特化のオイスターは初めてワインの酵母を使った商品なんですけど、変化させることや新しいことをそういうふうに小出しで取り入れていったから、みんな変化に慣れていったんじゃないかなと思いますね。
堀川
女性目線でいうと、自分が来る前よりも各段に作業環境が良くなっているという話を聞いて、今はとても恵まれた環境だなと思って。実際やっていて、お米を持つの重いなって思う時もありますけど、そこまで肉体的にしんどかったりきつかったりはないと思います。
安竹
今はクレーンが設置されてまして、何百キロもある蒸し米も、移動はボタン一つでできるので、女性でも十分に仕事はできると思います。実際に紙袋に入ったお米を持ち上げることもありますけど、その時はできる人がやればいいし。その代わり他の仕事に回ってもらうっていう風に分担はできますし。それは、お互いによく相談しています。
堀川
栗間さんもそういう話を聞いてくださるので、もし作業がきついとなったら、じゃあこういうの買う?とか、手段や道具を選べるので、無理なく職場を改善させているように感じます。月に一回1on1で責任者と話したり、半年に一回社長と話す機会もあるので、そういう相談しやすい環境もあるのかなと。
数馬(慧)
たしかに。どんなのがあったら楽になる?みたいなことを聞かれたりしますし。ラベルを貼る機械も、新しいものを導入してもらってから楽になりましたね。
安竹
社長は蔵にも普段から顔を見せてくださっていて、我々とのコミュニケーションを大事にしてくれています。こういう仕事は大丈夫ですか?疲れないですか?とかっていうのはすごくよく聞いてくれます。そういう意味で、本当に社員を大事にしている会社だなと思います。
Session.4
安竹
自分の造ったお酒が実際に製品化されて、それを飲む瞬間ですね。特に僕や堀川さんは、よく栗間さんに誘われて、この町の居酒屋さんに行ったりして、自分たちの酒を飲むんですよ。
数馬(慧)
地産地消っすね(笑)。
安竹
そうですね(笑)。居酒屋で、お客様から美味しい美味しいって肌が触れ合うような距離のところで言われると、すごくやりがいを感じますね。みなさんはどうですか?
堀川
私は友達が美味しいって言ってくれるのがとても嬉しくて。私の周りの若い人は日本酒に馴染みがない人が多いんですけど、自分をきっかけに日本酒を手に取ってくれて、さらに美味しいって言われたらとても嬉しいし、一人でも二人でも興味を持つ人が増えたら嬉しいなっていう。それがやりがいです。
数馬(慧)
たしかにそうですね。知ってる人が言ってくれたら嬉しいですし、全く知らない人も。竹葉をネット検索してみた時に、いろんな人が「美味しかった」とか褒めてくれているのを見ると、本当に忌憚のない意見だなと思って、それが格別に嬉しかったりします。あとは瓶詰やラベル貼りに携わるようになってからは、運送会社さんが集荷にいらした時に出荷量の多さに驚かれた様子を見るとすごく誇らしく感じます。たまたま富山県と石川県の県境のところの道の駅に入ってみたら、うちの酒があって嬉しかったですね。
安竹
おぉ!ここにもあるんだ!って。
数馬(慧)
関東方面にも販路が広がっていますよね。以前は、「金沢だったらどこでウチの酒飲めますか?」と営業さんに聞いた時は限られた場所だけだったけど、今は「逆にどこに入っていないか分からん」と言われた時には、勢いが増していることを実感して嬉しくなりました。
Session.5
安竹
僕はここに入ってきてから、日本酒というものを知るようになったので、数馬酒造のお酒が日本酒の基準になっているところはどうしてもあるんですよね。なので、僕にとっては本当に身近なもの。味の勉強として他社さんのお酒を飲むことはあったとしても、日本酒を飲みたいなってなるとやっぱり自社のものを飲みたくなる。この町自体が竹葉を大事にしてくれていて、それが嬉しいっていうのもあるし。自分にとっては原点だし、頂点かなって思いますね。
堀川
私も一番最初に飲んだ日本酒で、一番美味しいと思ったお酒なので、安竹さんと同じで原点にして頂点という感じです。「能登純米」が一番好きで、一番最初に飲んだ日本酒も「能登純米」なんですけど、入りやすいのかなっていうのは思います。いろんな種類のお酒もありますし、食材特化のものもあるし、ラベルも手に取りやすいデザインで、入り口は割と広いのかなと個人的に思ってます。
数馬(慧)
いろんな種類のお酒があるんですが、僕の中の竹葉は、高いお酒で贈り物に使われるというより、食卓とか居酒屋とか、そういう普段の食事の場面にある酒かなと思っています。
安竹
食中酒ですね!
数馬(慧)
そう!食中酒!友達や地元の人たちの集まりでも、オードブルや料理皿の隣にぽんと置いてあったりするイメージがある。
安竹
そうですよね。高いからじっくり飲んでほしいっていうよりも、食べ物を囲んで人とワイワイするときに置いておいてほしい。
Session.6
安竹
数馬酒造には責任醸造という制度があって、醸造社員の熟練度に応じて、一人一つのタンクを使って自由に醸造の研究ができるんです。僕のはちょうど今日瓶詰めしました。まだ全工程を把握しきったわけじゃないので、ある程度先輩に教わりながらっていう感じなんですけれども、自分の名前が冠されたものが出てくるというのは、やっぱり誇らしい。普通に製品化されているものと比べると、心許なく思うことも多いんですけど、やっぱ自分のものが形になるっていうのは嬉しいなって思いますね。
数馬(慧)
米を洗ったり、麹(こうじ)を造ったり、もろみをつくったり、それぞれの作業は単発の工程で、分担して作業していると酒造りの全体像が見えにくいことが多いんです。この作業がどう繋がっていくんだろうなみたいなのは、責任醸造を通して完全に一本の線になりましたね。次の工程がこうだから、こういう理由でやっているんだとか、こういう風な狙いでこうしているんだ、というのが分かりやすくなりました。それまでは、米を洗う時は米を洗うという仕事だ、と思ってやってたりしたので。頭の中で繋がってなかったです。
安竹
入社したての頃に三種類の工程を同時進行する時があったのですが、今は何のお酒の何をしているんだろうかと混乱することもありました。
数馬(慧)
そうですね。責任醸造を経験するまでは、同じ作業だからと前回と同じように作業した時に「それは違う」と言われても、なんで違うのか分からなかったんです。今では、それは違うよな!と、はっきりと分かります。仕事の流れを掴むことにも、すごく勉強になったと思います。
安竹
責任醸造といっても自分ひとりで造るわけじゃなくて、いつもの造る流れの中で、今日は安竹君の責任醸造のお米を洗いましょうとか、その分の仕込みをしましょうとか、あくまでチームで進めます。造りたいお酒を提案すると、じゃあ、こういう風なアプローチが必要だから、これぐらいの温度にしとこうかとか、お米はこういうのを使おうかとか、道筋を教えてもらいながら造っていくので、まさに学校ですね!学ぶことを許されているのはとても安心できるし意欲も湧く。学ぶことに対して積極的になれます。
数馬(慧)
たしかに。こういう風にしたいから、どうしたらいいんだろうと思って聞いてみたら、じゃあこれはこういう風にしてみる、みたいなのが聞いても許されている感じはしますね。
安竹
それで全員が同じように考えられるようになれば、逆に誰かから新しいものが生み出される可能性もあるし、今やっていることに対してこういうやり方もあるんじゃない?みたいなのが言えるようになる。
数馬(慧)
あとは、全工程に関わっていると作業的に楽なんですよね。引き継ぎがすごくスムーズ!
安竹
誰かが有休を取っていていない、ってなっても滞りなく作業ができる。
数馬(慧)
作業的に多分こういう風な流れだろうとか、次を予想しやすいです。繋がっていますね。小さいことでも任せてもらえるから、実際の仕事になった時に経験が活きるなっていう感じはしましたね。
Session.7
安竹
僕は金沢から移住してきたわけですが、住む分には不便しないですね。能登町へ初めて訪れたときに、スーパーあるじゃんって思ったことを覚えてます。思ってる以上に田舎じゃないっていうのが第一印象です。病院もあるし、郵便局もあるし、普通に暮らす分には何も問題ないなっていう。
堀川
私もそう感じます。宇出津って、生活をする分には全然困らない。徒歩圏内で行きたいところに行ける。役場もあるし、病院もあるし、スーパーもあるし、徒歩圏内で行ける距離に全てがぎゅってなってるから、意外と便利。でも、チェーン店が少ないとか、居酒屋が多くてふらっと入れるお店がないなとは思います。
安竹
そう。ファミレスとかないもんね。
数馬(慧)
たしかに、そういうお店は少ないかもな。ふらっと入って飯食ってくみたいな。
Session.8
堀川
私はお二人みたいに責任醸造をまだしてないので、それがまず一つの目標です。
安竹
僕はちょうどステップアップする感じで責任のある役回りになるので、新しい業務もきちんとできるようになりたいです。代わりに僕のやっていることを堀川さんに引き継いでいくので、情けない背中は見せられないなと思っています。
堀川
私ももっと頑張ります。
安竹
今以上にちゃんと数馬酒造を支えられる存在になっていかなきゃなっていう気持ちですね。
数馬(慧)
今まで頼りにしていた製造課責任者である上司が数年後に定年を迎えることも頭にあって、自分のできる仕事を増やしていかなきゃいけないなと思っています。これから能登町もどんどん復興していってほしいから、数馬酒造としては祭りとか一緒にそういうのを盛り上げられていけたらいいなというのはあります。前に戻るというより、プラス方向になれたら嬉しいですよね。地震があった後で堀川さんみたいな若い人が来てくれたりもしたから、そういう感じで人が増えたらいいなとも思っています。
安竹
そうですね。若者が入ってきてほしいですね。若者が入ってきても大丈夫だよっていう姿を見せられるような会社にしていきたいです。
※このクロストークは2025年3月に行いました。
04 - REQUIREMENT