2025年9月9日に『いしかわサテライトキャンパス推進事業』を通じて、1名の大学生が数馬酒造にて就業体験をされました。今回のコラムでは就業体験に参加してくださった大学生のレポートをお届けいたします。社員にインタビューを行い、大学生の目線で考える数馬酒造の魅力などを綴っています。コラム内には私たちでは日常過ぎて気付いていなかったことや、長い付き合いの中でも初めて知ったことなど新しい発見も引き出してくださいました。ぜひご覧ください。
『いしかわサテライトキャンパス推進事業』とは、石川県での仕事や暮らしの体験を通して、地元企業や地域の特色をリアルに感じることを目的とする事業です。
数馬酒造でのプログラムでは、社員へのインタビューやホームページ醸しコラム記事の作成を課題として、酒造りの裏側を体験していただきました。
こんにちは!数馬酒造でインターンシップに参加させていただきました。
数馬酒造の魅力は、なんといっても「人の温かさ」。それは、お酒の味にも、働く環境にも深く根付いていました。
取材中、皆さんの言葉から共通して感じたのは、お酒や能登への愛、そして世代や経験を超えて支え合う温かい絆でした。今回は、私の心に響いた皆さんの「そのままの声」をお届けします。
Q. なぜ数ある企業の中から、数馬酒造を選んだのですか?
社員Aさん(入社1年目)
「『竹葉のお酒が好き!』というのが一番の理由です。初めて能登に来た時、海や食べ物、自然の豊かさに強く惹かれて。面接で訪れた時も、職場の前にある海を好きになったことが、ここで働きたいと決めるきっかけになりました。」
Q. 入社前のイメージと、入社後のギャップはありましたか?
社員Bさん(入社2年目)
「酒造りを担う醸造課での勤務のため、入社前から体力仕事が多いと覚悟していましたが、意外なことに、それほどしんどさを感じるものではありませんでした。というのも、身体的に負荷の大きい作業では機械によるサポートや工夫がたくさんありました。また改善への提案や相談のしやすさなど、自分の思っていた社会人とは違う、『想像以上に人に優しい会社』でした。」
私も取材中に、社長が「女性に優しい職場は、誰に対しても優しい環境になる」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。実際に働いている皆さんの話を聞いて、その言葉の意味がよく分かります。数馬酒造の優しさは、性別や年齢に関係なく、社員みんなに向けられているのだと感じました。

Q. 仕事で一番やりがいを感じるのはどんな時ですか?
社員Aさん
「入社して半年、できなかったことが少しずつできるようになってきた喜びがあります。最近やりがいを感じたのは『ひやおろし』の出荷作業のことです。僕は全体を見渡せる位置だったので、先回りして段ボールを用意したり、進捗の早い班に優先して運搬したりするなど皆がスムーズに作業できるように意識して動きました。作業が終わった後に、『動きがとっても良かった』とたくさんの社員さんから褒めてもらい、意識して取り組んだことをきちんと評価されることも、とてもやりがいに繋がります。」
他にも「責任醸造」というユニークな取り組みについても教えてくれました。
数馬酒造では、若手でも一人で一つのタンクを任される「責任醸造」という特別な取り組みがあります。この取り組みは、社員の「チャレンジしたい!」という声から始まったそうです。
社員Aさん
「自分で計画を立て、試行錯誤しながらも、自分の目指したお酒を造れることはとてもやりがいを感じます。僕はまだ『責任醸造』を経験していませんが、昨年入社された先輩は今期の酒造りで挑戦されていたのを見て、僕が『責任醸造』をする日も近いと思っています。挑戦したいお酒の構想もすでにあるんです! 」
若手の意見を尊重し、挑戦を応援してくれる、そんな社風があるからこそ実現できていると感じます。この取り組みについても大いにやりがいを感じますよね。

世代を超えた、温かい日常
数馬酒造では若い方が活躍しているイメージが強いですが、社歴の長いベテラン社員さんも若手の挑戦を下支えしています。勤続30年以上の社員さんにもインタビューを行いました。
Q. 歳の離れた方と一緒に働くことについてどう感じていますか?
社員Cさん(勤続33年)
「若い子は孫みたい。一緒に働くと、『ハイカラな言葉(若者が使う今どきの言葉)』がたくさん出てきて楽しいのよ。テレビの話とか、若い人の話を聞くだけでも、本当に楽しいし、勉強になるんですよ。」
また昔と比べて変わったことして、お休みが増えたことも話されていました。週休二日制を導入するなど、時代の変化を前向きに受け入れているのも数馬酒造の魅力です。この変化は、「働く人の環境が良くないと、おいしいお酒は造れない」という社長の考えに基づいています。
数馬酒造の温かい人間関係は、仕事の場だけにとどまりません。社員旅行や飲み会などを通じて、社員同士の絆を深めています。最近では、社員でテニスを楽しむ活動も始まったそうです。
そんなアットホームな雰囲気の中で、勤続33年のベテラン社員さんに「これまでで一番嬉しかったことは何ですか?」と尋ねると、意外な答えが返ってきました。それは、「社長さんの結婚式」でした。仕事の成果や大変だったことではなく、人生の喜びをみんなで分かち合えた瞬間が、一番の宝物だと教えてくれました。この温かい空気が、数馬酒造の美味しいお酒を育んでいるのだと感じます。

コミュニケーションを大切にする仕組み
数馬酒造の温かい関係性は、自然に生まれるだけでなく、会社全体で大切に育まれています。
その具体的な取り組みが、月に一度の1on1ミーティングや週に一度のCAP(チェック・アクト・プラン)ミーティングです。
社員Dさん(入社8年目)
「1on1ミーティングでは所属長に日頃の困りごとなどを相談できます。業務に追われる中では落ち着いて話せなかったことも、この場でしっかり話せますし、アドバイスももらえるので有難いです。
育休のことなど、業務に影響のあるプライベートなことを気軽に話せるのも良いです。」
社員Eさん(入社7年目)
「私は在宅勤務者なので、CAPミーティングはオンラインで参加しています。チャットなどで頻繁にコミュニケーションはとっていますが、顔を合わせてのミーティングが私にはとても貴重な時間です。皆さんの顔も見られて嬉しいです(笑)
ミーティングでは部署全体の目標に対して進捗などを話し合います。目標に対して来週は何をするのかが明確になるので、以前より仕事がしやすくなりました。」
定期的なミーティングで 社員一人ひとりの声を聞くことも、数馬酒造の特色が出ていると思います。「会社のミスの8割はコミュニケーション不足から起こる」と言われるように、常に情報を共有し、問題の解決や共通認識の醸成に努めているそうです。特に社員には酒造未経験者や移住者も多いため、この時間が全員の安心につながっていると感じました。
会社全体で、「人を育てる」という信念
数馬酒造では、酒造経験者ではなく、あえて未経験者を採用しています。その背景には、「経験者を採用すると同業者の雇用を奪い、酒造りに携わる人が増えない」という考えがあります。自分の会社だけでなく、地域全体に貢献したいという強い想いに、私は感銘を受けました。
最後に
お話を聞いていると、数馬酒造の皆さんは本当に楽しそうで、時間があっという間に過ぎてしまいました。皆さんが心から大切にしているのは、「人」であり、そこから生まれる温かいコミュニケーションです。
そして、その温かさはお酒づくりだけに留まりません。2025年からは会社のミッションを「醸しのものづくりで、能登の魅力を高める」から「酒蔵の領域を超えた挑戦で、能登の魅力を高める」にアップグレードさせています。
数馬酒造が掲げる経営理念「能登を醸す」という言葉には、そんな熱い想いが込められています。私なりにその意味を考えてみました。
- 「能登を醸す」とは
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- 時間と手間をかけて育むこと
- 異なるものが混ざり合い、新しい価値を創造すること
- 内側から湧き出す力を引き出すこと
- 共感と応援の輪を広げること
- 不完全を受け入れること
数馬酒造が目指すのは、「良いお酒」を造ることだけではありません。お酒を通して能登を、人を大切にすること。それが、この蔵に流れる揺るぎない想いです。
ぜひ、あなたなりの「醸す」を見つけに来ませんか?