醸しコラム

Column

【広報の蔵人体験レポート】酒造りの現場から|Vol.2 出麹

2020.10.20


こんにちは、広報担当です。
普段は在宅勤務をしながら広報業務に携わっています。より深みのある広報を目指して、今期の造り(2020BY)では、出社時に蔵人インターンとして酒造りを体験しています。
このコーナーでは、私が実際に現場で感じたことなどを初心者目線で綴ります。どうぞ、温かい目で見守っていただけると幸いです。
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この日は、出麹(でこうじ)のくずし作業でした。
「出麹」は、できあがった麹を仕込みタンクに入れるべく、麹を室(むろ)から出すこと。名前の通りなのですが、そのまま出すのではなく、ひと手間加えます。それが「くずし作業」です。

ちなみに「麹(こうじ)」は、蒸し米に麹菌を生やしたもの。温かい室ですくすくと育った麹菌は、この段階になると、お米の中心部まで菌糸を食い込ませています(この状態を「破精(はぜ)込み」と呼びます)。写真左のふわふわとしたのが菌糸で、栗のような芳香がするのもこの段階です。
ちょっと訳が分からなくなってきますよね。私も最初はさっぱり理解できず、今でも思考が停止しては参考書をひらく日々です(苦笑)

さて、くずし作業に話を戻します。写真のように麹が塊になっているので、目の粗い“ふるい”で細かくバラバラにするのが「くずし作業」です。細かくすることで、麹菌の動きを止めて熱くなりすぎるのを防ぐためと、麹の風通しを良くして乾燥させ、雑菌の繁殖を防ぐために行います。その後は、細かくした麹は荒い麻布を敷いた麹箱に広げて乾燥させます。
重労働というわけではないですが、30℃を超える暑い室の中なので、ふつふつと汗が。室から出たときの爽快感は、運動後の達成感と似ている気がします(^^

くずし作業の後は、引き続き、室で引込み作業を行いました。
「引込み」を簡単に説明すると、蒸して種麹をまいたお米を、室内の床(とこ)と呼ばれる台(台なのに床!どうしてこう呼ぶのでしょうか!)に搬入することです。名前の通り、引き込むんですね。
この日、引き込んだお米は、能登上撰の添(そえ)と仲(なか)、能登純米の酛麹(もとこうじ)の3種類。3種類あるので注意して作業することと朝礼で念押ししていたのはこのことか!と現場でやっと理解する新人です。添・仲・酛については説明が長くなるので、また今度詳しく…

蒸したてのお米を温度が均一になるよう、床(とこ)の上に広げます。目測だけでなく、定規をあてて計測します。きっちり広げた後は温度計を差し込んで、麹菌が繁殖しやすい温度と湿度が保てるよう、キャンパス布にくるんでおしまいです。
この温度計のデータは、随時スマホから見ることができます。温度計のIT化によって、夜中に温度を確認しに現場へ行かずに済みます。また、蔵人全員がデータを共有しているので、作業の効率化も図ることができます。ちなみに、温度計に付けられた名前は醸造責任者の遊び心から。「竹葉を皆様に楽しんでいただくには、作り手も酒造りを楽しまなくては」という気持ちの表れです。心に余裕を持つことで、不測の事態を冷静に対処したり、新しいことにチャレンジしようとする気持ちが生まれ、結果としてチーム全体に勢いをもたらすそうです。また、名前を付けることで愛着がわきますよね(^^

それでは、今日はこの辺で。
最後までご覧くださり、ありがとうございました!

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