醸しコラム

Column

能登を醸す|数馬酒造 復興レポート4 3/12~4/1

2024.04.01

この度の地震に際しまして、たくさんの温かいお心寄せを頂きまして心より感謝申し上げます。
同じく被災なさった皆様にはお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧とご安全をお祈り申し上げます。

おかげさまで復興への道を一歩ずつ歩んでいます。
その様子をレポートとして綴ってまいりますので、ご覧いただけましたら幸いです。

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能登半島地震から3ヶ月が経過しました。
『地震のことなんて忘れられているよ』と、そう言われることもあります。渦中の私たちだけが元日からの覚めない夢の中にいるのかもしれません。こんなに長い春眠ならもう覚めてしまいたいです。
能登の景色は依然として大した変わりのないまま、応急処置の復旧だけをして、季節だけが移ろっていきます。

そんな中、4月から酒造りを再開いたします。

1月の茫然自失の心中を、なんとか「酒造り」に向けることができたのは、手を差し伸べてくださった同業の方々や、待っていてくださるお客様たちのお声があってのことです。
実際は「酒造り」以前に、自分自身や家族、社員さん達の生活安全もままならない状況で、酒蔵の復旧においても、何から着手していくべきか、優先順位を見極めながら取捨選択をせざるを得ない状態でした。

2月になっても、内心は前向きに「酒造り」をしようと力強く思える状態に全員が至ってはいませんでした。安心して過ごせる健やかな日々や、水が出るという当たり前の日常は、すぐに手に入るものでも、誰かから与えてもらえるものでもありませんでした。ただ、日々をなるべく笑顔で乗り越えるのに精一杯でした。それでも、「酒造り」再開を第一目標に据え、とにかくそこに心を向けることで、少しずつ好転していけたらと、半ば祈るような気持ちがありました。

3月になると、余震が落ち着き、傷んだ街並みに心もずいぶん慣れてきました。
酒蔵では県内の酒蔵様にもろみを救出していただいた日本酒の発売があり、ふとすると地震前以上の賑わいとなりました。皆様が心待ちにしてくださっているお気持ちが伝わってくるようでした。
酒蔵内の断水が3月12日についに解消し、喜びの反面、まだまだ能登全域の通水には至っていないことを思うと苦労を知るだけに胸が痛みます。地震の後は喜びと憂いが交互にやってくるので、感情の起伏についていくのに少々忙しく思います。ご支援の皆様のご奮闘には心から感謝申し上げます。
春休みになった子どもたちは突き出た下水道管や崩れた歩道を軽やかに飛び越えて遊びに出かけて行くようになりました。慣れというものは時にすごい威力で、非日常を日常にしてしまう力があります。この慣れを、今はうまく飼い慣らして進んでいかないといけないのだと思います。
 
 
さて、書き留めておかないと振り落とされてしまいそうなくらい、三ヶ月間でたくさんの出来事がありました。同時にたくさんのご支援と温かいお気持ちをお寄せいただき、返しきれないほどのご恩を頂戴しました。
私たちはやはり、ただ、「能登を醸す」の言葉を噛みしめ、醸しのものづくりを続けていくことで、恩返しするしかないのだと思います。
本来であれば4月には酒造りを終えています。その4月から夏前までの期間に酒造りを行うこと自体、未経験の挑戦です。新しい困難もあるでしょうが、やるからには「皆様に喜んでいただけるおいしいお酒をつくろう」と決心しています。

ひび割れの補修も木造蔵の解体も、すべてはこれからですが、季節が夏になってしまう前にまず「酒造り」を再開させます。能登のお米でおいしいお酒を造り、皆様に喜んでいただく、それ以上に尊い喜びはありません。
 
 
●2024年3月12日
本社酒蔵内の水道が通水しました。

●2024年3月15日
金沢市福光屋様より、上槽と瓶詰めを代行いただいたKINMI Sake(日本酒応援団)様商品の納品がありました。

こちらのお酒につきましては、KINMI Sake様でのご予約が始まっております。ご予約、詳細につきましては、KINMI Sake様オンラインショップをご覧ください。

 
●2024年3月27日
瓶詰めラインを再稼働させ、タンクに貯蔵していた商品の瓶詰めを行いました。
復興レポート 瓶詰再開
●2024年3月29日
社員総会を行いました。
定年退職社員の送別会を行いました。
定年退職社員の送別会
●2024年4月1日
酒造りの第一歩、洗米作業を行いました。
酒造りの再開

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皆様からの温かいご支援、励ましに心から御礼申し上げます。
皆様もどうかご安全に平穏でありますように。
これからも日本酒をお楽しみいただき、応援いただけますと大変有り難く存じます。

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