醸しコラム

Column

【広報の蔵人体験レポート】酒造りの現場から|Vol.3 蒸米

2020.10.26


こんにちは、広報担当です。
普段は在宅勤務をしながら広報業務に携わっています。より深みのある広報を目指して、今期の造り(2020BY)では、出社時に蔵人インターンとして酒造りを体験しています。
このコーナーでは、私が実際に現場で感じたことなどを初心者目線で綴ります。どうぞ、温かい目で見守っていただけると幸いです。
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この日は、蒸米(じょうまい)作業でした。
普段食べているお米は“炊いて”いますが、日本酒造りでは“蒸して”います。お米を炊くと粘りが強いため、お米同士がくっついた状態になります。これでは、麹を作る際に麹菌が繁殖できるお米の表面積が狭くなってしまい、良い麹を作りにくくなってしまいます。また、麹用でない掛米(かけまい)の場合も、お米に水を多く吸わせることができるので、くっつかないことは重要になってきます。ですので、酒造りではお米とお米がくっつきにくい状態(さばけが良いと言います)で仕上がるよう“蒸して”います。

また蒸米は、外側は硬く、中心部は柔らかく水分が保たれている「外硬内柔」で仕上げることが理想とされています。こうすることで、麹を作る際に、麹菌がお米の中心部まで繁殖しやすくなります。蒸しあがったお米はパリッと固め。私はあまりおいしいとは思いません。食べるなら、ふっくらモチモチですよね!

さて、この日蒸したのは、「いか純米」の酒母用、「能登上撰」の添(そえ)と留(とめ)用の掛米でした。専門用語が盛りだくさんですね。本当にざっくりですが説明しますと、蒸米後の動きは3パターンに分かれます。下の図のような感じです。

お米を蒸すと、甑(こしき)からはもくもくと湯気が上がり、作業場はとっても良い香りが広がります。少し甘くて、優しい香り。そして、どこかワクワクさせる不思議な香りです。しばし時間を忘れて、甑の前にぼーっと見入ってしまいます。

蒸しあがってからは、大忙し。甑からお米を取り出し、お米を冷まし、仕込みタンクまで運びます。お米を冷ます「放冷」は機械がしてくれます。蒸米を入れると、ベルトコンベアで出口まで運びながらお米を冷ましていきます。
したがって、甑からお米を取り出す人、放冷機からお米を運ぶ人(2人)、運ばれた蒸米を仕込みタンクに入れて撹拌する人の、計4名で作業を行います。甑からお米を取り出すのは、まさに猛暑のなかでの採掘作業です。この作業は若手の登竜門らしいので、そのうち私も採掘デビューをする日が来るかもしれません(笑)

この日の私の担当は、放冷機の出口でお米を受け取り、温度を計って、消毒した台車に載せるまで。従来はエアーシューターを使って、放冷機からタンクまで自動輸送していたのですが、この日は人力で。きっと私の勉強のために、昔ながらのやり方でしてくれたのかもしれません。おかげさまで、エアーシューターの重要さを痛感しましたよ。台車に載せるだけの作業ですが、翌日は腕を肩より上にあげることがつらかったです(苦笑)

それでは、今日はこの辺で。
最後までご覧くださり、ありがとうございました!

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