醸しコラム

Column

【広報の蔵人体験レポート】酒造りの現場から|Vol.6 並行複発酵ともち四段

2020.11.20


こんにちは、広報担当です。
普段は在宅勤務をしながら広報業務に携わっています。より深みのある広報を目指して、今期の造り(2020BY)では、出社時に蔵人インターンとして酒造りを体験しています。
このコーナーでは、私が実際に現場で感じたことなどを初心者目線で綴ります。どうぞ、温かい目で見守っていただけると幸いです。
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本日は日本酒造りの基本ともいえる「並行複発酵」について、自分の復習もかねて綴りたいと思います。並行複発酵と聞くとツウの方は、日本酒YouTuberのあのお二人を思い出されるかもしれませんが、今回は違います(笑)
“並行複発酵とは、醪(もろみ)の中で蒸米の糖化と発酵が並行して行われること”と、私が教科書にしている最新酒造講本には書かれています。
登場人物は二人。麹(こうじ)菌さんと、酵母さんです。麹菌さんは蒸米のデンプンを糖に分解します。酵母さんはその糖を食べてアルコールを排出します。簡単に絵で表すと、下記のようになります。(私のイメージだと麹菌さんはアフロヘアで、酵母さんは帽子をかぶっています笑)

この業界に入る前は、麹が糖化も発酵もしていると思っていたので、なぜ酵母を入れるのか疑問でした。酵母がいないと、ノンアルコールの甘酒にしかならないということですね!

これらのことをふまえて、実践!現場で検証してみます。
下の写真は仕込み時期の違うタンクから、分析用に醪を採取し、ろ過したものです。少し色が見にくいですが、①は一番発酵が進んだもので、④は一番最近仕込んだものです。①はアルコール分が多くて甘みが少なく、④はアルコール分が少なくて甘いという感じです。この分析の様子を見学することで、並行複発酵がよりクリアなものになりました。日本酒っておもしろいですね!

さて、先ほどの①の醪の発酵状態が狙い通りにきていたので、次工程に移ります。
通常、醪の仕込みは「三段仕込み」といって3回に分けて行い、次は上槽(じょうそう・搾りとも言います)になるのですが、この「能登上撰」はさらにもち米を投入する「もち四段」という工程があります。もち米を入れることで、心地よいほのかな甘みと、どっしりとした重みのある味わいに仕上がります。(もち四段前の軽やかな味わいも個人的には好きですけど)

このもち四段では、蒸したもち米を水に溶かして醪に投入します。投入前の状態が下の左写真です。
能登上撰にもち米を使用していることは知っていましたが、どのタイミングでどのように扱うのかについては恥ずかしながら知りませんでした。現場に入って初めて知ることが多く、とても勉強になります。少しずつ経験しながら、酒造りについて学んでゆけたらと思います。

それでは、今日はこの辺で。
最後までご覧くださり、ありがとうございました!

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