醸しコラム

Column

【広報の蔵人体験レポート】酒造りの現場から|Vol.5 仕舞仕事

2020.11.09


こんにちは、広報担当です。
普段は在宅勤務をしながら広報業務に携わっています。より深みのある広報を目指して、今期の造り(2020BY)では、出社時に蔵人インターンとして酒造りを体験しています。
このコーナーでは、私が実際に現場で感じたことなどを初心者目線で綴ります。どうぞ、温かい目で見守っていただけると幸いです。
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この日の作業は、仕舞(しまい)仕事でした。
以前、出麹(でこうじ)という作業をご紹介しましたが(参照:Vol.2 出麹)、その出麹の前の作業、つまり麹(こうじ)づくりの工程です。
麹づくりでは、蒸したお米を室(むろ)に引き込んでから仕込みに使うまでに、大きく分けて3つの作業があります。盛り・仲仕事・仕舞仕事といいます。これらの作業の役割としては、前半は麹菌が繁殖しやすい環境を整えるため、後半はお米の中心部まで菌糸を食い込ませるため、麹の湿度や温度を適正にするための作業といえます。

【盛り】
蒸米に白い斑点(破精・はぜ)がところどころ見られる。麹菌の繁殖が旺盛になり始める頃。麹菌の増殖を促すため、一か所に固めて保温と乾燥を防ぐ。

【仲仕事】
麹菌の繁殖が進み、外側と内側でお米の温度や菌糸の伸び具合にばらつきが出るので、混ぜ合わせて均一にする。36℃→35℃くらいに。この時、水分の発散と酸素の補給にもなるよう、よく混ぜる。

【仕舞仕事】
麹菌の繁殖は一層盛んに。麹のかたまりをほぐしながら、お米の温度を下げすぎないように注意して、均一に混ぜ合わせる。38℃→37℃くらいに。最後に溝を作って、表面積を大きくし、水分の発散を促す。

これらの工程を経て、麹が完成します。それにしても、醪(もろみ)の仕込みの時にも「仲」が出てくるので、ややこしいですよね。また、どうして「盛り」にはお尻に“仕事”がつかないのでしょうか?!手作業で混ぜ合わせる作業がないため、“仕事”がつかないのでしょうか?

さて、この日は、「閃(せん)特別純米」の添(そえ)用麹の仕舞仕事でした。(「閃」って何?という方はこちらをどうぞ)先ほどご説明した通り、麹のかたまりをほぐしながら、均一に混ぜていきます。温かく、程よく湿気をまとった麹は、なんだか重く感じられますが、根気よくほぐしていくとパラパラと軽快な動きになっていきます。逆に、自分は息が上がり、身体が重く感じられ、顔も真っ赤です…笑

さておき、仕舞仕事のお仕舞(おやじギャグ)は、麹の表面積を増やすために、波のように成型します。蔵人さんは、しゅーーーっと滑らかに腕を動かして麹を寄せ、指の動きを微妙に変えながら山の形を整えます。見ているととても簡単そうに見えるのですが、実践してみるとその仕上がりは一目瞭然。山の頂が立っていないんです。一朝一夕でなせる業ではないことを痛感しました。(下の写真:左が蔵人、右が私)

それでは、今日はこの辺で。
最後までご覧くださり、ありがとうございました!

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