醸しコラム

Column

【連載】又木実信写真展 in 農家レストラン開元 vol.3|最終回

2019.09.18


こんにちは。数馬酒造・蔵人の又木です。
7月27日より始まりました写真展『Wonder Land』を無事に終えることができ、皆様へ感謝の気持ちを伝えたく綴りました。少し長くなりますが、最後までお付き合いください。

自分にとって初めての個展。きっかけは今回の写真展の会場『農家レストラン開元』に勤める中村さんの言葉からでした。「又木さんは過去と現在、未来を行ったり来たりするような不思議な能登の写真を撮りますね。」と。
今まで趣味程度に作品をSNSに投稿していた自分へ、そんな風に声をかけていただき、写真展を開催することができて、とても嬉しく思います!

写真展が始まる前は、写真展を通して見える景色はどんなのだろう、抱く感情はどんなのだろうと胸を躍らせていた自分が懐かしいです。
展示が始まると時間はあっという間に流れ、期間中約1,500人の方にお越しいただきました。同級生や地元でお世話になった方、友人たちやSNSのフォロワーの方、告知を見て興味を持ってくださった方、たまたま来店された方など、県内外からたくさんの方に私の作品を見てもらうことができ、大変光栄に思います。

私は、能登の豊かな自然や美しい景色をたくさんの人に見てもらいたくて、写真を撮り続けてきました。今回の写真展でも、住み慣れた場所であっても、まだまだ自分の知らない瞬間や景色があって、どこか懐かしさを感じさせるようなワクワクするような、ちょっと切ないような、いろんな感情を抱かせてくれる不思議なこの土地を自分なりに表現できたかなと思います。

能登で生活していると、時間の大切さに気づかされます。
写真を通して向き合う時間はその一瞬にしかなく、過ぎゆく時間や消えゆくモノは取り戻せません。だからこそ些細な日常でも、特別な瞬間でも、“時間”という概念を大切に私はシャッターを切ります。

今、自分が暮らす能登は過疎化という課題に直面しています。
人がいなくなるとお祭りがなくなり、地域の文化が消えてゆきます。お祭りに限った話ではなく、数年後あるいはもっと先の未来、この地域はどうなっているのだろうかと危惧することが多々あります。

それでもこの土地には素晴らしい景色がたくさんあります。
北アルプスの山々から登る朝日。満天の星空。田園風景。お祭り、暮らしの風景など、挙げるときりがありません。

作品をSNSに投稿すると、能登を魅力的な場所だと言ってくれたり、作品を楽しみにしてくれたりする人たちがいます。能登までいらっしゃる方もいました。町外に出た同級生は写真を見て「能登に帰りたい」と話してくれました。
だからこそ自分でも出来ることはたくさんあるし、変わっていく環境の中で変わらないものを大切にし、写真を通してそれを伝えてゆけたらと思います。また、失われゆくものを写真という形で残していきたい。そうすれば記録にもなります。誰かと共有することもできます。
変わらずにこの場所で暮らす人たちがいることを、何気ない日常の景色を誰かに伝えたい、この土地の人たちや誰かの記憶に寄り添えるような写真を撮っていきたいと思っています。

写真展がとても楽しかったからか、得るものが多すぎたのか、終わってからしばらく時間が経った今でも、自分の気持ちをどのように表現して良いのか分かりません。ですので、まずは自分にできることから一つ一つ恩返ししていきたいと思います。そして、誰かに良い影響を与えられるような人間になりたいと思います。

最後になりましたが、応援くださった皆様に感謝いたします!
私はまだまだこれからです。今後ともご声援をいただければ幸いです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

📷蔵人フォトグラファー・又木実信Instagram
https://www.instagram.com/_8hachi/

数馬酒造オンラインショップ