醸しコラム

Column

能登を醸す|数馬酒造 復興レポート1 2/1~12

2024.02.15

この度の地震に際しまして、たくさんの温かいお心寄せを頂きまして心より感謝申し上げます。
同じく被災なさった皆様にはお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧とご安全をお祈り申し上げます。

これまで醸しコラムにて復旧活動を綴っておりましたが、2月からは「復旧活動レポート」改め、「復興レポート」として綴ってまいります。
復旧から復興へ、少しずつフェーズを移していけたらと思います。

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●2024年2月1日
新しい月がやってきました。
未だ断水が続き、状況は大きく変わるわけではありませんが、なるべくいつものように神棚の榊や御神酒を新たにし、玄関を清めました。ご支援でいただいた救援物資を仕分けし、段ボールの束を片付けます。この一ヶ月間に揺さぶられた乱雑な気持ちと決別するように、身の回りを整えることで、少しでも明るいムードに転じていけたらと願います。

 
●2024年2月5日
宮城県の新澤醸造店様の新澤社長と杉原専務がご来訪になりました。救出したもろみから造られた純米吟醸酒1.8L約350本と、洗浄用のお水1000Lをお持ち込みくださいました。
新澤醸造店様からのご支援
もろみは新澤醸造店様の蔵内で適切に管理され、圧搾され、日本酒になりました。社員全員で大切に受け取り、新澤様らを囲みながら味わわせていただきました。青りんごのように、すっきりとした爽やかな味わいです。一同、本当に有り難く、自然と拍手が湧き上がり、心からの御礼を申し上げました。

また、弊社社員の手作りぜんざいをお出ししましたところ、帰り際にはおいしかったよと社員に直接お声掛けくださいました。弊社醸造責任者の栗間とは大学の先輩後輩関係であることも分かり、歓談のひとときも大変心和むものでした。

新澤様も多忙を極めていらっしゃる中でご遠方からお越しいただき、どのような感謝の言葉を並べても足りません。以前から素晴らしいお蔵と存じ上げておりましたが、ますます輝く存在です。新澤様がくださる金言はいつも必ず私たちの心を熱く燃やしてくださるのです。お届けしてくださった日本酒は私たちにとっても奇跡のようなお酒です。

※こちらの日本酒の発売については詳細未定となります。
限定的な数量ですので、皆様のご希望に沿うことは難しくございますことを予めお詫び申し上げます。県内の他の酒蔵様に救出いただきました日本酒については、十分な数量をご用意できる予定でございます。お待ちいただけますと幸いでございます。

 
 
●2024年2月6日
責任者会議を行い、当面の目標を定めます。瓶詰め再開を3月11日に、酒造り再開を3月25日に設定し、これに向かって活動していくことにいたしました。酒造り再開を最優先事項とし、復興に向かっていく決意です。酒造りはできる限り春先まで行い、能登の農家さんらから預かっている米をしっかりと酒にしていこうと思います。
 
 
●2024年2月8日
経済産業省の方々が視察のためご来訪になりました。
現地の声を丁寧にヒアリングしてくださり、弊社社長からは復興するために必要なことなどの要望をお伝えいたしました。寄り添ってくださるご姿勢が、私たちにとって非常に心強く思います。
 
 
●2024年2月9日
能登半島地震から39日目、リモート社員も含め、社員全員の出社が叶いました。
発災後、避難生活や家庭の事情、疲労や感染症による体調不良など、それぞれに様々な事由があり、なかなか社員が揃うことができずにおりました。こうしたことが企業にとっては復旧に向けた大きな困難のひとつであり、震災特有の事象であると改めて感じます。
全員が一堂に会するのはもう少し先ですが、一人一人の無事とたくさんの努力に感謝し、こうしてまた皆で始動できることを本当に嬉しく思いました。
「人がすべて」。先代が遺してくれた言葉を噛みしめます。
休憩の様子。笑顔がこぼれます
同日、洗い水の取水地を再度確認に出向きました。
水量も十分にあり、ポンプの停電も復旧したことが確認できました。しばらくは土が混ざる可能性がありますが、またひとつ、胸をなで下ろすことができました。
 
また午前中には、馳石川県知事、古賀内閣府副大臣、大森能登町長らがご来訪になりました。能登半島の被災企業を視察される中で、弊社にもお足をお運びくださいました。
全壊状態にある木造の明治蔵などを視察し、復興支援の上で率直な要望や意見を求められました。貴重なお時間を割いて私たちの言葉に耳を傾けていただけることが大変有り難く、感謝いたします。
また、知事からは『ここのスパークリング酒はすごくうまいんだよ』と、昨年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)受賞報告でお飲みいただいたお酒「竹葉 瓶内後発酵純米酒」をお褒めいただき、『また飲みたいなぁ!』と気さくなお声掛けで励ましてくださいました。
馳知事らご訪問
 
●2024年2月12日
弊社社長が白山市の車多酒造様にお邪魔させていただき、救出いただいた大吟醸酒の上槽作業に立ち会わせていただきました。

しぼりたてのお酒は透明感に溢れ、可憐な香りの大変美しい酒になっておりました。九代目の車多慶一郎様が「数馬さんらしい味わいに」「数馬さんが思うようなお酒になれば」と節々におっしゃってくださいます。計り知れないほど細やかなご配慮をなさりながら経過を見守ってくださったことが伺え、胸がいっぱいになりました。何から何までご丁寧にご対応くださり、その真摯で温かいお心は敬服の至りです。車多様の酒造りにそのひとつひとつが映し出されていらっしゃいます。
翌日すぐに社員らで味わいを確かめました。素晴らしい仕上がりに、一同「さすが」と声が揃いました。

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皆様からの温かいご支援、励ましに心から御礼申し上げます。
皆様もどうかご安全に平穏でありますように。
これからも日本酒をお楽しみいただき、応援いただけますと大変有り難く存じます。

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