醸しコラム

Column

【連載】数馬酒造の醤油 vol.3|素材へのこだわり

2019.07.04

新しく仕込む醤油は、能登産の原材料にこだわった、オール手作りの“本物”を追求しています。
醤油の原材料のうち、大豆と小麦は志賀町の「株式会社ゆめうらら」様が育ててくださったものを使用しています。ゆめうらら様は弊社ではおなじみのパートナー農家さんであり、日頃から能登の自然と共存共栄できる環境を目指しながら、質の高い酒米を提供していただいております。
そのゆめうらら様が育てた大豆は、膨らみがあり、色つやが良く、粒揃い。吸水性も高く、ふっくらと蒸し上がった大豆は甘くしっかりとしたコクがあります。また小麦は硬質で粒が大きく、力強さを感じます。炒ると芳ばしい香りが広がり、小麦に含まれるデンプンが醤油に甘味と香りを生み出します。

 

大豆を蒸し、炒って砕いた小麦、麹菌を混ぜ、食塩水を加えて「もろみ」を作ります。この際、仕込み水には能登町小木地区で取水した海洋深層水を使用します。ミネラルが豊富な海洋深層水は微生物の働きを促進させ、醤油はなめらかさを増すといわれています。

 

もちろん、塩もメインに使用するのは能登産です。今期の仕込みでは、通常通りの水に食塩を溶かした食塩水と、揚げ浜式製塩の工程中にできる「かん水」を使用した二種類の仕込みに挑戦しています。
塩になる手前の「かん水」はにがり成分を含み、ミネラルが豊富。塩味にまろやかさが生まれ、より滑らかな、香味のバランスがとれた醤油が出来上がるのではないかと期待しています。

 

このかん水は珠洲市の「株式会社Ante」様にご協力いただき、特別に原材料としてご提供いただいております。Ante様は塩釜を焚く際に二酸化炭素が出にくい薪を使用したり、副産物として生まれた炭を肥料に利用してブランド野菜の商品開発を行うなど、伝統技法「揚げ浜式製塩法」による塩づくりを通じて、里山里海の保全へ積極的に取り組んでいます。

 

弊社が掲げるSDGsの目標のひとつに「地域資源を最大限に活用した持続可能な原材料調達100%を実現する」がございます。
醤油造りの原材料を提供してくださる、ゆめうらら様、Ante様はともにSDGsに取り組む企業です。これらのパートナー企業様とともに、清酒造りだけでなく醤油造りにおいても持続可能なものづくりに向けて努めてまいります。

 

こうした素材へのこだわりは、“嘘のない”“安心して使える”、さらには“本物”の醤油に繋がります。
まだ見ぬ新しい醤油を私たちも待ち望みながら、じっくりと長い熟成期間を過ごしております。

 

現在仕込み中のため、お手元にお届けできるまで今しばらくお時間をいただきます。
どうぞ、お楽しみに。

 

≫数馬酒造の醤油 vol.1|新たなスタート
≫数馬酒造の醤油 vol.2|素材へのこだわり
≫数馬酒造の醤油 vol.4|醤油造りの現場から

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