醸しコラム

Column

【連載】数馬酒造の醤油 vol.1|新たなスタート

2019.06.25

「数馬酒造」は醤油製造業を生業として創業。
そのルーツは明治以前に創設された醤油蔵にあります。能登最古の醤油事業として150年以上の歴史を重ねた旧醤油蔵の建て壊しに伴い、能登の山村に位置する廃園となった保育所を醤油蔵として改装し、新たなスタートを迎えました。

 

なぜ数馬酒造は醤油を造り続けるのか?
清酒事業の一本に絞り、醤油造りからの撤退を考えた時期もありました。三代目蔵元が先代に相談した際、日本の食卓に欠かせない醤油はいつの時代になっても必要であり、作り続ける意味があると諭されたといいます。それ以降、今に至るまで醤油事業は脈々と続いてきました。

 

さらに醤油事業を続ける意義が強まります。
能登の里山里海を守るために耕作放棄地の開墾に取り組んでいましたが、水を引きにくい立地や、ほかの農家さんと水を分け合うには水資源が乏しい土地が出てきました。米の栽培に適さない土地をうまく活用する方法はないかと検討した結果、小麦や大豆を作り、醤油を醸すことに至ったのです。農家さんの課題をともに考え、解決に取り組んでいくことができるのは、日頃から密に連携をとっている賜物と改めて感じさせられました。

 

また、醤油造りは弊社の掲げる「持続可能なものづくり」にも繋がります。
酒造りは一般的に秋から春にかけて仕込みを行い、かつて蔵人は季節労働者でした。しかしながら、弊社では数年前より、社員蔵人による酒造り体制に切り替えました。通年雇用の社員メインだからこそ、今回の醤油事業のリスタートへの大きな後押しとなりました。

 

かくして、数馬酒造の醤油造りは装い新たに始まります。
能登の耕作放棄地で栽培した小麦・大豆、能登の塩を使用し、能登の海洋深層水で仕込む醤油は、「能登産」「手作り」にこだわり、原点回帰で醸す新しい醤油なのです。

 

弊社の原点事業を、今の数馬酒造が表現するとどうなるか?
どうぞ、お楽しみに。

 

≫数馬酒造の醤油 vol.2|保育所を醤油蔵に
≫数馬酒造の醤油 vol.3|素材へのこだわり
≫数馬酒造の醤油 vol.4|醤油造りの現場から

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