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竹葉 とり純米

竹葉 とり純米
食の時を楽しくする日本酒ブランド「竹葉」の中でも、特定の食材に着目して日本酒の楽しさを提案する「食材特化シリーズ」があります。
そのシリーズの第5弾として2021年に誕生した日本酒が「竹葉 とり純米」です。

今回は「竹葉 とり純米」の開発秘話やその味わい、そして数馬酒造が大切にしている想いをご紹介します。

 

「竹葉 とり純米」開発の経緯

「とり料理」に合わせた日本酒開発のきっかけは、複数の飲食店関係のお客様からのお声でした。
石川の地酒と食の祭典「サケマルシェ」での地元飲食店でのコラボイベントの際に『とり料理に合う本酒があると嬉しい』とご要望を頂きました。

焼鳥、唐揚げ、グリルなどの鶏肉料理は飲食店で人気メニューのひとつです。お料理と共にアルコールを楽しまれるお客様も多く、提供するお酒に多様性を持たせたいとお考えの飲食店も多くあります。

また、とり料理は家庭の食卓においても大変親しみが深いものです。食の時を楽しくする日本酒の提供者として、日々の食卓に馴染みのある食材に特化した日本酒の開発は、意義のあることと考えました。
そうしたことがきっかけで、とり料理と寄り添う日本酒開発のプロジェクトが始まりました。

 

試験醸造から生まれた新しいお酒

時を同じくして、蔵では新しいお酒の試験醸造が行われます。

数馬酒造では既成概念に捉われない自由な発想や挑戦を支援するため、醸造社員にそれぞれタンク1本の自由醸造を任せる「責任醸造」という社内制度があります。その責任醸造のうち1タンクを「酵母添加なし」の造りにチャレンジしていました。

数馬酒造 醸造社員

こうして責任醸造で生まれた酵母添加なしのお酒は社内試飲会で上々の仕上がりであると評価を受け、試験醸造酒として竹葉の定期購買(頒布会)会員様にも味わっていただきました。会員様からは「こんなに透明感のある味わいのお酒は初めて」「ぜひ製品化してほしい」と高くご評価いただき、手応えを感じました。

そして先の飲食店コラボイベントの際にもこちらのお酒を提供すると、こちらでもご好評をいただき、特に「とり料理」とペアリングすることで、より一層おいしく感じられるといったお声も頂戴しました。このお声を受けて、「竹葉 とり純米」の酒質設計の方向性が見えたのです。

さらに、「竹葉 とり純米」の酒米を生産いただいている契約農家「ゆめうらら」様では、2019年から化学肥料に頼らない農作物の栽培に取り組むため、田畑の水田の土づくりには地元養鶏場から出る鶏糞を活用されています。
鶏糞を活用して育てた酒米で、とり専用の純米酒を仕込むことは新しい地域資源循環の取り組みとなり、弊社としても喜ばしいことでした。

 

「竹葉 とり純米」の3つの特徴

  • 「とり料理」とのマリアージュを追求した、とり専用純米酒
  • お客様の声と責任醸造が融合して生まれた一本
  • 酵母添加をせず、米と水の力だけで醸す酒造り

竹葉 とり純米
 

醸造責任者が語る造りのポイント

数馬酒造 醸造責任者

「竹葉 とり純米」の最大の特徴ともいえる“酵母を添加しない”酒造りは、米と水と自然界の力だけで醸す難しさがあります。
一般的な酒造りでは、麹(こうじ)・米・水に乳酸や純粋培養酵母を添加しています。弊社では乳酸を添加しない生酛(きもと)造りを数年前から始め、生酛造りの安定的な酒質の醸造が可能になりました。そこで今回の造りでは、乳酸だけでなく、さらに酵母を添加しない造りに挑戦しています。

酵母を添加しない造りでは空気中に浮遊する自然の酵母がもろみに付くことを待ちますが、それらが付かない場合、腐造のリスクに繋がります。また、自然の酵母が付いてもその特性が事前に把握できない難しさがありました。

酒母造り(お酒のもと・酛とも呼ぶ)においては、生酛造りにて乳酸をしっかりと発生させ、目標の酸度になるまでは品温を高めにコントロールし、その後は低温に保ち自然の酵母が住みやすい環境を作りました。あとはあるがままの発酵に委ね、酸度を活かした仕上がりになっています。

味わいは酸味が出るように意識していますが、新酒が仕上がった際、リンゴ酸のニュアンスが強めに出ていたため生酒での期間をわずかに設け、酸味にまろみを出しました。

造り手の視点からは、仕込み中の酸度や日本酒度が仕上がりの手掛かりになります。酵母を添加しないことでコントロール出来ない部分もありますが、それを受け止めて仕上げる面白さを感じています。

 

「竹葉 とり純米」の楽しみ方

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「竹葉 とり純米」はチャーミングな酸がとても印象的。酸味自体が「おいしさ」をまとっているようです。また、全体に一貫して軽やかで繊細な印象です。とり料理は弾力のある淡泊な肉質、皮の味わいと独特の香りが特徴です。それらと調和するこの酸やボディの「ほどよさ」、後口の繊細さが実に技ありの一本です。

【味わい分析】

香り:
米の香りと黄色い果実を思わせるフルーティな香りはクリーミーで柔和。
バラのような白い花を思わせるニュアンスも感じます。

口当たり:
意表を突くような「酸」。全体に旨みがまとわりついている「おいしい酸」です。
スウィーティや淡いレモンのニュアンスを伴っています。

中頃:
酸味はすっきりと輪郭を見せ、爽やか。

後口:
キャラメリゼをしたようなコクと香ばしさを帯びながら、あくまで透明感のある酸が砂糖菓子のような繊細さを感じさせます。

【おすすめの温度帯】

冷蔵庫から出して少し立ったくらいの、ほどよく冷えた14℃がおすすめです。おいしい酸味が生き生きとします。
酒器は薄い縁で緩やかなふくらみのあるワイングラスですと、酸味を感じやすくなります。

また、45℃以上の燗酒も適しています。
透明感のある糖の甘さはそのままに、米の甘みが強調されて美味です。唇に当てて熱いお風呂のように感じる温度帯です。

【おすすめのペアリング】

もちろん「とり」料理とともに。リースリングワインのようなイメージでのペアリングでどうぞ。
和食、洋食、中華とジャンルを問わず、バリエーション豊かなとり料理とお楽しみください。

●甘辛タレ
焼き鳥、照り焼きなど甘辛の味付けのものは大得意です。

●ごまだれ
棒々鶏などのごまだれを使ったとり料理も◎。きれいな酸味が引き立ちます。

●クリーム系のお料理
鶏もも肉のクリーム煮、キノコと合わせて。すっきりとした後口で楽しめます。

 

食材とともに味わう日本酒の楽しさを

竹葉の日本酒は「食の時を楽しむ」をコンセプトに醸しています。

米と水のみで醸す日本酒ですが、使用する米や仕込み水、酒造りの製法によって実に様々な個性を引き出すことができるのです。その個性によって、食材の良さを一層楽しむことができます。その知恵を集結させた日本酒が「竹葉の食材特化シリーズ」です。

竹葉の食材特化シリーズ

竹葉の食材特化シリーズは地域食材にフォーカスし、製造背景から食べ合わせた時のマリアージュに至るまでを考え抜いた日本酒を展開しています。
2018年の「竹葉 能登牛(のとうし)純米」の発売を皮切りに、2019年5月に「竹葉 いか純米」、11月に「竹葉 gibier(ジビエ)純米」、2020年1月に「Chikuha Oyster(チクハオイスター)」を発売し、今回の「竹葉 とり純米」を加えてシリーズは5種類となりました。

また、酒造りにおいてはもちろんのこと、食べ合わせにおいても「テロワール」という言葉が重要視されています。

「竹葉の食材特化シリーズ」では、その食材が持つ背景にもスポットライトを当て、食の時を楽しくする日本酒ブランド「竹葉」として、食材とともに味わう日本酒の楽しさを存分に感じていただきたいという想いとこだわりが詰まっています。

特に鶏肉は普段の食卓に馴染みのある食材です。
何気ない日々の食事が日本酒でよりいっそう楽しくなりますように。

 

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