醸しコラム

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《社長レポート》私が進めた醸造現場の働き方改革②
~醸造社員の新しい働き方への挑戦~

2023.05.12

社長レポート》私が進めた醸造現場の働き方改革② ~醸造社員の新しい働き方への挑戦~
数馬酒造では、SDGs目標のひとつに「あらゆる人財が活躍できる多様性のある労働環境を構築する」を掲げています。特に閉鎖的で、過酷な労働環境と思われている酒造り現場の改善を優先的に行ってまいりました。

このコラムでは、数馬酒造代表がその持続可能な働き方を目指した取り組みについて、全2回にわたってご紹介いたします。最後まで、ご覧いただけましたら幸いです。

前編はこちらよりご覧いただけます。
≫《社長レポート》私が進めた醸造現場の働き方改革①~若手正社員を責任者に据え、新たな醸造体制へ~

 

醸造社員の新しい働き方への挑戦

醸造社員にも働き方の選択肢を

醸造社員の働き方改善のゴールが見えてきた頃、能登の異業種経営者や人事採用を担当されている方々との会話を通して、また採用選考を重ねてきた中で考えさせられることがありました。

それは若手正社員で構成される醸造チームづくりは進んでいましたが、弊社がSDGs目標の1つに掲げている「あらゆる人材が活躍できる多様性のある労働環境を構築する」を実現させるならば、個々の希望にそった多様な働き方も視野に入れ、挑戦していく必要があるのではないかということです。

そこで2022年からは、他部署ですでに実施している働き方を醸造課にも導入し、働き方の選択の幅を広げることにしました。その結果として実現できたことをご紹介します。
醸造社員の新しい働き方への挑戦
 

時短勤務の導入

多様な労働力を活かすために、“午前中だけ働く”といった時短勤務を酒造りの現場にも導入しました。
これにより、副業との掛け持ちや長時間体を動かす仕事に不安がある方、仕事と家庭の両立を図りたいといった方も酒造りに携わりやすく、また仕事を継続しやすくなったかと思います。

時短勤務の場合は部分的な業務のみを担当していただくことが多くなり、全体の流れを把握されにくい側面はあるかと思いますが、その分チーム内でのコミュニケーションを活発化させ、限られた時間でも作業がしやすいように環境整備やマニュアル化が進みました。

 

異業種経営者の採用

新たな働き方を進めるにあたり、思いがけないご縁もいただきました。
事業を営む、いわゆる経営の立場の方がご自身の事業の閑散期に酒造りに携わってくださることになりました。閑散期と言えど、ご自身の事業も並行して行えるよう話し合い、週3〜4日の勤務体制で参加していただきました。

能登では冬になると雨風が強まり、雪の日も多く、農業や漁業など、どうしても季節性のある業種が一定数存在します。そうした方々も酒造りに携わっていただくことができれば、地域に雇用を生み、今後の働き方のひとつの事例になると考えています。

また、ご自身で事業をされているとあって、視野が広く、主体性も高いため、弊社の改善箇所をいくつも指摘して、一緒になって改善に取り組んでくださいました。
同じメンバーで仕込むからこそのメリットは確かにたくさんありますが、新たな視点で醸造環境や製造工程を見直すことができたので、従来の季節雇用を図らずも復活させることになりましたが、結果として環境整備の更なる加速につながりました。

 

女性醸造社員の配置

ここまで従来型の醸造環境に「若手の視点」「異業種経営者の視点」を加えて改善に取り組んできましたが、このタイミングでもうひとつ挑戦したいのが「女性の視点」でした。

かつて酒造りの現場は女人禁制。近年では酒造業においても女性の活躍は進んでいますが、力仕事や危険な作業をともなうことが多いため、男性の働き手が多い世界です。弊社においても醸造課は男性のみで構成されています。もし、ここに女性の視点が入ったら?また違った角度で醸造環境の改善を進めることができるのではないかと考えるに至りました。

そこで声をかけたのが、以前から酒造りに興味を持っていた女性のパート社員さんです。
弊社では全社員が社長である私と1対1で面談する「1on1ミーティング」を定期的に行なっているのですが、その際に彼女に打診をして、快諾いただいたので醸造課に異動していただきました。就業時間は事務所で勤務していた時と同じ、9時〜15時です。

異動からひと月も経たずに、今まで目が届かなかった箇所の整理整頓や道具の置き場所の高さなどの改善点がさっそく見つかり、手ごたえを感じています。
会社としても、引き続き女性にも働きやすい醸造現場になるよう積極的に投資をしていく考えです。
女性醸造社員の配置
 

男性社員の育休取得

海外では当たり前の光景である男性の育児休暇。近年では日本でも取得促進の声が大きくなっています。弊社でも女性社員の育休取得実績はあったものの、男性社員の実績はありませんでした。

ところが先日、男性社員の方が育休を取得されました。これはなんとも嬉しい出来事でした。
もちろん就業規則として整備はしてありましたので、社労士さんや労働局の方などと連携して最新の情報を確認しながら進めさせていただきました。

初めての男性社員の育休取得者が醸造メンバーだったおかげで、醸造体制の更なる改善点や課題が見つかりました。
今後も取得を希望される方が必ずいらっしゃると思いますので、今よりもスムーズに取得していただけるような体制を整え、どんな職種の社員さんでも育休を取得しやすい環境を構築していきます。

 


 

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