醸しコラム

Column

ワイングラスで楽しむ日本酒『竹葉 生酛純米 奥能登』

2021.02.03

数馬酒造のある石川県の奥能登地方は、半島が日本海に大きく突き出した地形によって寒暖差の激しい季節風の影響を受けやすい地域です。
毎年冬になると、しんしんと雪が降り積もり、膝のあたりになることも。身に沁みるような寒さの中、外は静けさに包まれ、能登には変わらずゆったりとした時間が流れています。

そんな寒さ厳しい季節に、酒造りは最盛期を迎えます。

冬が酒造りに適しているのは、醪(もろみ)が発酵する際に一定期間の低温状態が必要とされているからです。冬の蔵内は外気温とさほど変わらず、まさに天然の冷蔵庫。人には厳しくとも酒造りには適した環境となります。

仕込みタンクが並ぶ発酵室では、微生物が大雪もお正月も関係なく力強く生きています。なかでも、とびきり活きの良い酵母を使ったタンクには、もこもこと泡が発生し、泡自体がひとつの生命体のように感じられます。
この生命力あふれるお酒が『竹葉 生酛(きもと)純米 奥能登』です。

かつて『竹葉 奥能登』という銘柄は特別本醸造酒として販売していましたが、時代の変化やお客様からのお声を受けて、2019年に一新。新しく生まれ変わった『竹葉 生酛純米 奥能登』は、国内外を問わずご評価いただき、2021年で3シーズン目を迎えます。
このコラムでは、3年目にして数馬酒造を代表するお酒となった『竹葉 生酛純米 奥能登』の魅力と楽しみ方をご紹介いたします。

 

目次

 

『竹葉 生酛純米 奥能登』の味わい

日本酒に飲み慣れていない方にも飲みやすい味わいです。

口に含むと、バナナやカシューナッツのような優しい甘みと、コクのあるプディングやカスタードのような、包み込むような香りが口の中に広がります。

一般的に「生酛造り」の日本酒は、独特の酸味が特徴的です。しかしながら『竹葉 生酛純米 奥能登』には、べっこう飴のような柔らかな甘みと香りがベースにあり、そこに心地よい酸が調和された味わいに仕上がっています。

 

製法は昔ながらの「生酛造り」

『竹葉 生酛純米 奥能登』の特徴の一つ。それは、昔ながらの酒造りの手法である「生酛造り」を採用していることです。

専門的で少し難しいのですが、生酛造りは、自然界から乳酸菌を取り込み、お酒のもと(酛・酒母とも呼ぶ)となるものを造ります。
酛造りの日数は通常の仕込みの倍の一ヶ月に及び、その上、硬い米を擦りつぶす力作業も必要となります。
それらの時間と労力をかけて完成したお酒には、多くの旨味成分が発酵によってつくられるため、生酛造りだからこそ引き出せる、気品のある酸とコクのある味わいに仕上がるのです。

 

日本で唯一の海藻酵母を使用

『竹葉 生酛純米 奥能登』のもう一つの特徴は、奥能登の海藻から分離された海藻酵母を使用していることです。
地元能登の地域資源を最大限に活用したいという想いから着手し、東京海洋大学の久田孝教授、石川県立大学、そして弊社の共同研究により開発された酵母です。

この海藻酵母は、清酒に爽やかな風味を与えるリンゴ酸の生成能力が高く、その量は「きょうかい7号酵母」の2.5倍といいます。[参考]
また、「きょうかい7号酵母」で醸した清酒に比べて酸味と甘みが強く感じられる一方で、アルコール度数は低く、より爽やかな味わいに仕上がると考えられています。

こうした特徴が、『竹葉 生もと純米 奥能登』を口に含んだ時に感じられる、爽やかでフルーティーな味わいにつながっています。

[参考]久田 孝・矢野 俊博 2・松田 章:「花および海岸漂着海藻より分離した酵母を用いた清酒小仕込試験」『日本醸造協会誌  (Journal of the Brewing Society of Japan)』 107(4), 205-209, 2012-04-15

 

能登テロワール 能登への想い

『竹葉 生もと純米 奥能登』の特徴は、製法だけではありません。
米、水、酵母すべてが能登産の原材料で醸しています。

酒米の「五百万石」は、パートナー農家である株式会社ゆめうらら様が水田環境特A地区の水田にて、五百万石専用の肥料を使用して栽培しています。その良質なお米を玄米で仕入れし、全量自社精米しています。
また、仕込み水は、自社で管理する山の湧き水を使用しています。硬度1.7と全国トップレベルの軟水が、醪(もろみ)の穏やかな発酵に繋がります。
そして、先述した能登産の海藻酵母が加わります。

私たちは醸しのものづくりで能登の魅力を高めることを使命としており、原材料調達能登産100%を実現したお酒が『竹葉 生酛純米 奥能登』です。それはまさに、能登テロワールを追求した一本です。

 

挑戦し続けるものづくり

『竹葉 生酛純米 奥能登』は、一言では語り尽くせないストーリーがあります。このお酒が「責任醸造」から生まれたこともお話しさせてください。

弊社には、醸造社員にそれぞれタンク1本の自由醸造を任せる「責任醸造」という社内制度があります。この制度によって生まれたのが『竹葉 生酛純米 奥能登』です。
文献を探し、蔵人同士で相談し合うなど試行錯誤を重ね、特徴的な味わいを持つお酒に仕上がりました。全社員で試飲をし、たしかな手ごたえを感じ、製品化に至りました。

この「責任醸造」は醸造社員の声から導入されました。この制度なくしては、『竹葉 生酛純米 奥能登』が完成されることはありませんでした。『竹葉 生酛純米 奥能登』は、弊社の柔軟な思考で挑戦し続けるものづくりを投影したお酒ではないでしょうか。

 

世界的トップソムリエも認める旨み豊かな味わい

『竹葉 生酛純米 奥能登』は昨年、世界で最も大きな影響力を持つといわれる品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2020」SAKE部門純米酒カテゴリにおいて、金賞ならびに金賞のうち評価が高い銘柄に与えられるリージョナルトロフィーを受賞いたしました。また、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2020」において、メイン部門の最高金賞を受賞しています。

一方で、フランスのコンクール「KuraMaster」の審査員らが来社された際には、フランスの世界的トップソムリエであるダビッド・ビロー氏から『日本酒のもつ“UMAMI”を初めて体感することができた』と、このお酒が持つ豊かな旨味について、特別なご評価を頂きました。

 

おすすめの飲み方

[温度]

・軽快な酸味とコクのある旨みを味わうには、冷蔵庫から出して少し経過したくらいの温度(12℃~14℃)がおすすめです。
海藻酵母の特徴からも、冷たい温度で召し上がられることが適しています。

燗酒でしたら43℃から45℃ほどのぬる燗が良いです。

開栓後は、香りや味わいにコクのある甘みが加わっていきます。濃密さを帯びていく経過を楽しめることも魅力のひとつです。

[酒器]

・ワイングラス(リースリンググラス)
『竹葉 生酛純米 奥能登』は昨年、国内外の品評会において最高金賞を受賞しております。
どちらの品評会も、テイスティングはワイングラスで行われ、日本酒の香りや味わいを評価しています。

(受賞歴)
・ワイングラスでおいしい日本酒アワード2020 メイン部門最高金賞
・IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ )2020 SAKE部門純米酒カテゴリ金賞/リージョナルトロフィー

弊社では国際基準に合わせたワイングラスを揃え、最終的な酒の仕上がりを決める試飲の際にもワイングラスを使用しています。

 

おすすめのお料理

『竹葉 生酛純米 奥能登』はあらゆるお料理に合わせやすく、食材を選ばない万能さがあります。

野菜のグリルや青菜のおひたし、若竹煮や貝のさっと煮など、素材の持つ甘みを引き出したシンプルなお料理がおすすめです。また、カシューナッツやキャラメルのようなコクもあるので、バターやサフランの香りとも相性がよく、白身のムニエルやパエリアなどの洋食ともお楽しみいただけます。
旨味のある余韻が長く続くので、濃厚なチーズやドライフルーツにも合わせて、じっくりと飲み進めることもできる一本です。

 

ぜひ、能登の風土を感じる『竹葉 生酛純米 奥能登』をお楽しみください。

 

この記事で紹介した商品

石川県の酒販店様を中心に、全国のお取り扱い店様、弊社オンラインショップにてお買い求めいただけます。

 

店頭でお使いいただける『竹葉 生酛純米 奥能登』の販促用チラシとポストカードをご用意しております。
ダウンロードいただき、ご活用いただけましたら幸いです。

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